最新記事

映画

今は亡き銀幕のスターを復活 脚本・監督もするAI登場で人類は取って代わられる?

2020年1月31日(金)18時30分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネイター)

400人のセレブをCGで復活?

今回、このようにすでに亡くなっている俳優の復活が実現できたのは、Worldwide XRという知的財産を扱っている企業があったからだ。Worldwide XRは、ジェームス・ディーン復活ニュースが発表された同じ月に、他に400名にも及ぶセレブの肖像権の保有を発表している。

もちろん、映画のCG多用については反対意見も多い。俳優の仕事を奪うというのが多いが、人間に似過ぎると不気味な感じになるといった声も聞かれる。今回の俳優のCG復活への反応はどうなのだろうか?

すでに数人の現役俳優クリス・エヴァンスやイライジャ・ウッドは反対コメントを出している。さらに、俳優労働組合SAG-AFTRはすべての州でのロビー活動を行った。アメリカでは俳優ユニオンなど組合の力が絶大に強い。今後この技術が進むと俳優らと企業の対立は激しくなっていくだろう。

すでにこの事態を懸念して、万全の終活をして亡くなった俳優もいる。日本でも人気のあるロビン・ウィリアムズだ。彼は自らが設立した慈善団体Windfall Foundationに自身の死後の肖像権を一任しており、CG復活などができないようになっている。

ジェームズ・ディーン復活のニュースに「これはひどい」というクリス・エヴァンスのツイート


AIの進出は俳優業だけに留まらず......

ハイテク技術は、俳優など画面の中だけの世界ではなくなった。映画制作の世界にも進出している。そのなかでも、特にAIの技術はめまぐるしい活躍を見せている。

先日、ワーナーブラザーズは、AI企業であるCinelyticと協業することを発表した。CinelyticはこれまでAIを使った映画興行のデータ解析や利益分析、制作コストの削減と合理化などを提案してきた会社だ。

今後、ワーナーは上記の情報以外にも、AIのビックデータを利用し、ヒット作となるシナリオの選定AIのシステム開発も行っていくという。数年以内には、AIによって「人間にウケるシナリオ」がワーナーで映画化されるだろう。そうなると、スタッフクレジットには人間と一緒にAIが名を連ねるのか楽しみである。

実際、AIはすでにシナリオを書き出している。2016年、「SFL 48-Hour Film Challenge」の映画コンテストで上映された『Sunspring』は、AIの書いたシナリオを元に作られた映画である。AIは『フィフス・エレメント』『2001年宇宙の旅』などのSF映画のシナリオを中心に学習し書いたそうだ。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米石油・ガス掘削リグ稼働数、6月以来の高水準=ベー

ワールド

ローマ教皇の容体悪化、バチカン「危機的」と発表

ワールド

アングル:カナダ総選挙が接戦の構図に一変、トランプ

ワールド

トランプ氏、米軍制服組トップ解任 指導部の大規模刷
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ウクライナが停戦する日
特集:ウクライナが停戦する日
2025年2月25日号(2/18発売)

ゼレンスキーとプーチンがトランプの圧力で妥協? 20万人以上が死んだ戦争が終わる条件は

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 3
    メーガン妃が「アイデンティティ危機」に直面...「必死すぎる」「迷走中」
  • 4
    深夜の防犯カメラ写真に「幽霊の姿が!」と話題に...…
  • 5
    1888年の未解決事件、ついに終焉か? 「切り裂きジャ…
  • 6
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 7
    ソ連時代の「勝利の旗」掲げるロシア軍車両を次々爆…
  • 8
    トランプが「マスクに主役を奪われて怒っている」...…
  • 9
    私に「家」をくれたのは、この茶トラ猫でした
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」だった?...高濃度で含まれる「食べ物」に注意【最新研究】
  • 2
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される【最新研究】
  • 3
    人気も販売台数も凋落...クールなEVテスラ「オワコン化」の理由
  • 4
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 5
    動かないのに筋力アップ? 88歳医大名誉教授が語る「…
  • 6
    朝1杯の「バターコーヒー」が老化を遅らせる...細胞…
  • 7
    7年後に迫る「小惑星の衝突を防げ」、中国が「地球防…
  • 8
    ビタミンB1で疲労回復!疲れに効く3つの野菜&腸活に…
  • 9
    「トランプ相互関税」の範囲が広すぎて滅茶苦茶...VA…
  • 10
    飛行中の航空機が空中で発火、大炎上...米テキサスの…
  • 1
    週刊文春は「訂正」を出す必要などなかった
  • 2
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる唯一の方法
  • 3
    【一発アウト】税務署が「怪しい!」と思う通帳とは?
  • 4
    口から入ったマイクロプラスチックの行く先は「脳」…
  • 5
    「健康寿命」を延ばすのは「少食」と「皮下脂肪」だ…
  • 6
    1日大さじ1杯でOK!「細胞の老化」や「体重の増加」…
  • 7
    がん細胞が正常に戻る「分子スイッチ」が発見される…
  • 8
    戦場に「北朝鮮兵はもういない」とロシア国営テレビ.…
  • 9
    世界初の研究:コーヒーは「飲む時間帯」で健康効果…
  • 10
    「DeepSeekショック」の株価大暴落が回避された理由
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中