最新記事

K-POP

韓国、アイドルオーディション番組「PRODUCE 101」ヤラセ問題でK-POP離れ進むか

2019年11月13日(水)19時48分
ウォリックあずみ(映画配給コーディネーター)

韓国アイドルのオーディションは出来レースだった? 写真は事件について報じる韓国の報道番組より MBC -YouTube

<AKBや吉本も巻き込んだ韓国の人気番組でヤラセが発覚>

オーディション番組は世界的に人気のあるTV番組ジャンルの一つだ。贔屓の出場者をテレビの前で応援し、勝ち進んでいくたびに視聴者は一緒に頑張っている錯覚に陥り、感情移入もしやすい。そんな数あるオーディション番組の中、韓国の『PRODUCE 101』という番組が注目を集めている。日本でも吉本興業がフォーマットを購入した日本版が9月から放送されていてご存じの方もいるかもしれない。また、シーズン3の『PRODUCE 48』では日本のAKB48とコラボし、日韓合同のアイドル誕生として多くの注目を集めた。

そんな人気番組が今、韓国内で波紋を呼んでいる。今月5日、この番組を作ったケーブル局Mnetのプロデューサー(PD)2名の逮捕状が発行され拘束されたのだ。さらに12日行われた警察発表により、この2名の他に制作陣、芸能事務所等の関係者8名を追加で検察に送致すると発表している。視聴者からの投票数を裏で操作していたのではないかという疑惑が発表されたからだ。

「プロデューサーは国民の皆様」

このオーディション番組が従来の番組と違う点は、視聴者が実際に投票し、100人近くいる候補者の中から最終的にデビューするアイドルを応援できるシステムにある。エンタメ業界のプロが審査員が務めることが多かった今までのオーディション番組に対して、視聴者が投票できる仕組みは画期的だった。特に、デビューメンバーを決定する最終回は生放送され、視聴者は携帯で有料メッセージを送信しリアルタイムに投票する。番組中、司会者や出場者は視聴者のことを「国民プロデューサー様」と呼び、画面から投票を訴えかける。

日本ではアイドル育成ゲームが多く販売されているが、この番組はまさにリアル育成ゲームともいえる。自分がプロデューサーになったかのように、お気に入りの出場者を応援しながら投票し、あたかも自分が育てて、最終的にデビューさせてあげた気分に浸れる。思い入れたっぷりのアイドルグループの誕生だ。彼らはグループとしての活動は期限付きながら、CDアルバムを発売し、その全てがヒットしている。

そんなオーディション番組の根幹を覆す「ヤラセ」が発覚したことで、韓国国内では連日ニュースで大きく報道されている。PDらはシーズン3と4については投票数操作を自白し、現在1と2、さらに同局制作の『アイドル学校』という番組にもヤラセ疑惑の調査が進行中だ。2人は芸能事務所から40回以上総額1億ウォン(約9400万円)相当の接待を受けて、投票数の裏工作を行ったことを認めていると伝えられた。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

パキスタン首都封鎖、カーン元首相の釈放求める抗議デ

ワールド

北海ブレント、25年平均価格は73ドルの見通し=J

ワールド

トランプ氏の新政権人事、トランプ・ジュニア氏が強い

ビジネス

米公益企業、AIやEVの旺盛な電力需要に対応し設備
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 2
    「ダイエット成功」3つの戦略...「食事内容」ではなく「タイミング」である可能性【最新研究】
  • 3
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたまま飛行機が離陸体勢に...窓から女性が撮影した映像にネット震撼
  • 4
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 5
    寿命が5年延びる「運動量」に研究者が言及...40歳か…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    クルスク州のロシア軍司令部をウクライナがミサイル…
  • 9
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 10
    「典型的なママ脳だね」 ズボンを穿き忘れたまま外出…
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでい…
  • 8
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 9
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 10
    2人きりの部屋で「あそこに怖い男の子がいる」と訴え…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 5
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 8
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 9
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 10
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中