最新記事

健康

「人生100年なのに医療は人生70年設定のまま」が引き起こす問題

2019年9月2日(月)18時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

生活習慣病の患者さんの体は、長年、体に負担をかける生活習慣によって老化が進行しています。高血圧なら過剰な塩分摂取、暴飲暴食、運動不足、野菜や果物の摂取不足、肥満、喫煙などが体に負担をかける生活習慣にあたるでしょう。

老化は体の一部分だけで起こったりはしません。全身にひとしく起こるものです。そのため、高血圧がめだつからといって、血圧だけを薬で下げても本質的な解決になりません。なぜなら表に出ている症状がないだけで、全身の老化は進んでいると考えられるからです。

老化は薬では治らない

認知症や寝たきりは老化の最終形として起こるものだと説明しました。認知症や寝たきりに効く薬がないのと同様、生活習慣病という名の老化に対しても、薬は根本的な治療とはなり得ないのです。

高血圧は降圧剤でコントロールできますが、これは特定の受容体に薬がアプローチして「血管内の圧力を下げているだけ」です。老化の進行を止めているわけではありません。

たとえば、生活習慣由来の高血圧と高血糖をもつ患者さんに降圧剤を飲んでもらったとしましょう。この場合、血圧は正常値になりますが、高血糖はそのままです。降圧剤は血圧を下げる以外の影響を体にあたえることのないように開発されているからです。

これで老化の進行が止まったといえるでしょうか? 高血圧症の原因である生活習慣を改善しなければ、老化はやはり進んでいきます。薬で血圧値が下がることと老化の進行が止まることはイコールではないのです。

体の老化をくい止めるには薬ではダメです。体の老化を加速させている根本原因、つまり「生活習慣」にアプローチしなければならないのです。

※第2回:「7つの習慣」の中で「健康なまま年を取る」に役立つのはこれ
※第3回:健康マネジメントは「部下の育成」「子育て」「愛車メンテナンス」と同じ


健康をマネジメントする――
 人生100年時代、あなたの身体は「資産」である
 横山啓太郎 著
 CCCメディアハウス

20250128issue_cover150.png
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年1月28日号(1月21日発売)は「トランプの頭の中」特集。いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る


※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

インフレ抑制法関連支出の凍結、EV支援策など対象 

ビジネス

中村審議委員、23日からの決定会合に電話会議で出席

ビジネス

SKハイニックス第4四半期営業利益、初のサムスン超

ワールド

韓国捜査当局、尹大統領を送検 内乱首謀や職権乱用で
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプの頭の中
特集:トランプの頭の中
2025年1月28日号(1/21発売)

いよいよ始まる第2次トランプ政権。再任大統領の行動原理と世界観を知る

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵を「いとも簡単に」爆撃する残虐映像をウクライナが公開
  • 3
    日鉄「逆転勝利」のチャンスはここにあり――アメリカ人の過半数はUSスチール問題を「全く知らない」
  • 4
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 5
    欧州だけでも「十分足りる」...トランプがウクライナ…
  • 6
    「バイデン...寝てる?」トランプ就任式で「スリーピ…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 9
    煩雑で高額で遅延だらけのイギリス列車に見切り...鉄…
  • 10
    いま金の価格が上がり続ける不思議
  • 1
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のアドバイス【最新研究・続報】
  • 2
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性客が「気味が悪い」...男性の反撃に「完璧な対処」の声
  • 3
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 4
    戦場に「杖をつく兵士」を送り込むロシア軍...負傷兵…
  • 5
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 8
    被害の全容が見通せない、LAの山火事...見渡す限りの…
  • 9
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 10
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 4
    有害なティーバッグをどう見分けるか?...研究者のア…
  • 5
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中