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2019年6月27日(木)20時30分
杉本あずみ(映画配給コーディネーター)

ポスター発表がニュースになるカンヌ国際映画祭

アニエス・ヴァルダの撮影現場の写真を使った今年のカンヌ国際映画祭のポスター

映画ビジュアルといえば、毎年カンヌ国際映画祭のポスターも注目されている。映画祭というと上映作品の写真をちりばめたり、開催地の特徴を盛り込むことが多いが、カンヌ映画祭のポスターは毎年シンプルで印象的。余計な情報が詰め込まれていないため、ポスターが1枚の写真アートのようだ。毎年ポスター発表時にはニュースとなっているほどである。

今年5月に開催された第72回カンヌ国際映画祭のメインポスターは、3月に亡くなった「ヌーヴェル・ヴァーグの祖母」ことアニエス・ヴァルダ監督だった。当時26歳だった監督がデビュー作を撮っている時の写真だが、男性スタッフの背中に乗りカメラをのぞき込んでいる。良い作品を作るためには方法を厭わない撮影にかけるスタッフらの情熱や、フェミニズムを表現しているとして今年のポスターも作品性を高く評価されている。

今はネットの動画やSNSが発達したおかげで、一瞬でたくさんの情報が流れ込んでくる世の中となった。以前のように映画館で映画の予告編を観なくても、スマートフォンやネットを開けばクリック一つで概要を知ることができる。良いと思えば拡散し、多くの人と共有することも可能だ。そのためポスターに昔ほど文字や説明を詰め込まなくてもよくなったのではないか。映画のポスターとは、観客と映画をつなぐ第一歩。いわば名刺交換のようなものである。一目見ていろんな情報が入ってくる肩書や文字だらけの名刺が良いのか、それとも一瞬で印象付けることができる芸術性の高い名刺が良いのか。発想や映画のイメージをポスターに乗せて伝える方が、より観客の心に届く時代になったのかもしれない。


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