カンヌやアカデミーだけじゃない! 個性派作品が集まるユニークな映画祭
カンヌ国際映画祭が世界から注目されるのはレッドカーペットの裏で映画の見本市が行われていることも大きい Jean-Paul Pelissier / REUTERS
<今年も世界の人気スターや映画作りの巨匠が集うカンヌ国際映画祭が開催されているが、こうした巨大な映画産業の世界とは一線を画したユニークな映画祭がある>
今月14日から南フランス・カンヌで第72回カンヌ国際映画祭が幕を開けた。大御所から気鋭にいたるまで世界中から多くの映画関係者が集まり25日まで華々しく開催される映画の祭典だ。カンヌ映画祭は、ベルリン映画祭とヴェネツィア映画祭に並び世界三大映画祭の一つといわれている。もちろん、それだけでも十分に注目されるに値するが、我々映画関係者にはもう一つ大事な「フィルムマーケット」と呼ばれる映画の売買が行われる見本市がセットで開催されていることもあり、カンヌは世界の数ある映画祭の中で重要な存在となっている。ちなみに、カンヌは秋にロサンゼルスで行われるアメリカン・フィルム・マーケット(AFM)、イタリアのミラノ国際映画見本市(MIFED)と並ぶ世界三大映画見本市でもある。特に、春のカンヌと秋のAFMはちょうど1年の上期・下期と分かれて開催され、この見本市に合わせて大作が売り出されるため世界各国から映画バイヤーが押し寄せるのだ。
アジアで注目の映画祭は?
さて、カンヌ、ヴェネツィア、ベルリンの御三家以外にも大規模な国際映画祭は世界各地で開催されている。我々の住むアジアでも大きなものは日本の東京国際映画祭。韓国の釜山国際映画祭。香港国際映画祭などがある。特に、香港映画祭は、監督や俳優などの新しい才能を発掘することに長けている点が評価されて、世界的にも注目されつつある。韓国の釜山映画祭も、アジア作品にフォーカスする部門や、新人発掘を目的にした賞など、積極的に実力のある若手を支えたいという映画祭の意志が感じられる。まさに、映画館で通常上映される映画作品と映画祭の違いはこういうところにある。有名監督や人気俳優たちが作った作品や配給元が大きい作品は、映画祭出品後に全国公開が控えており、わざわざ映画祭に出向かなくても見ることができる。そうした作品でなく映画祭だからこそ上映でき、そこから実力のある新人が羽ばたいていけるインキュベーターとなる場所になってほしい。
アジアでいえば、最近ハリウッド映画でもその存在感を見せつけている中国も見逃せない。有名なのは上海国際映画祭と北京国際映画祭だろう。特に、上海映画祭は2015年に日本の東京国際映画祭と協力連帯の発表がされた。それまでにも数多くの日本作品が何らかの賞を受賞してきたが、今後さらに多くの作品が上海映画祭の場において上映されていくことだろう。一方、北京映画祭は2011年から始まった世界の映画祭の中では比較的新しい映画祭だ。日本映画の上映は2015年の園子温監督作品「ラブ&ピース」が初めてコンペティション部門で上映された。