学歴や序列さえも無意味な「新しい平等な社会」へ
だが新しい資本の時代は、だれでもあらゆるビジネスインフラにアクセスできる。これは、ほぼすべての人が平等に機会を与えられるということを意味しており、行動しないことに対する言い訳は通用しない。これまでは、資金やネットワークにおいて、持つ者と持たざる者の格差が生じていたが、これからは、アイデアや知識、そして行動力について、持つ者と持たざる者の格差が生じることになるだろう。
ゲーム開発企業であるグリーが、入社試験の代わりに、ネット上でプログラムを作成する課題を出して話題になったことがある。入社志望者は、リクエストに沿ったプログラムを自分で開発し、同社に送って評価してもらうという仕組みである。
当時は、この採用方法について、プログラミングという特殊な仕事だから実現可能と思われていた。しかし、これからは違う。ネット上で公開された課題をこなし、成果物を納入して入社の是非を決める試験はあらゆる分野に及んでくるかもしれない。
これまでの入社試験はあくまで「入社したら仕事ができるだろう」というポテンシャル評価でしかなかった。だがこの試験は、実際にできたかどうかしか問われない。日本はこれまで学歴社会と言われてきたが、従来の学歴採用は典型的なポテンシャル採用だったのである。
新しい時代には学歴の意味すら変わってしまうかもしれないのだ。
<加谷珪一『図解 お金持ちの教科書』抜粋シリーズ>
ニューストピックス「図解 お金持ちの教科書」