【影響力を上げる】目的を遂げるには「共通の課題」を探ること、とは?
システム思考と社会イノベーション
本書から学べるもう一つの重要な視点は、個別の支援を超えて「システム」を作り上げることの重要性だ。前橋市でのふるさと納税の活用事例は、既存の制度を革新的に組み合わせることで新たな価値を生み出した好例である。
これは、ビジネスにおける「システム思考」にも通じるもので、単に目の前の課題解決だけでなく、持続可能な仕組みを構築することの価値を教えてくれる。
著者の河村氏が実践してきた「つなぐ力」は、既存のシステムをいかに活用し、各ステークホルダーのメリットを考慮した上で新たな価値を創造する手法として、複雑化する現代社会のビジネスパーソンにとって学ぶべき点が多い。
コロナ禍を経て社会課題への関心が高まる今日、ビジネスと社会貢献の境界線が曖昧になりつつある。そんな時代に、具体的な変化を生み出すためのヒントが詰まった一冊として、ビジネスパーソンにも一読をお勧めしたい。
■ 河村正剛(かわむら・まさたけ)
社会現象となった『タイガーマスク運動』の発端となった人物。自身が孤児として育ち、16歳から一人暮らしをしながら高校に通う。自動車整備会社勤務を経て営業職としてカラオケ機材大手に就職。24歳から児童養護施設への寄付を開始。2010年クリスマスに前橋市の児童相談所にランドセルを贈り話題となる。現在は行政や民間企業と協力し、児童養護施設やひとり親などの支援などを続けている。
『影響力を上げる』
河村正剛[著]
CCCメディアハウス[刊]
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