【影響力を上げる】目的を遂げるには「共通の課題」を探ること、とは?
ビジネスにも活かせる4つの力
本書で提唱される「人と関わる力」「人の親身になる力」「壁を突破する力」「人をつなぐ力」という4つの力は、社会活動に限らず、ビジネスシーンでも十分に応用可能な普遍的スキルだ。
特に「壁を突破する力」の章で語られる「時には人に相談しないことも必要」という逆説的な知恵や、「相談する相手を間違わないことも大事」というアドバイスは、新規事業や変革に挑む人々に勇気を与えるだろう。「大きな夢を持つなら、その夢を実現した人に相談する」という視点は、ビジネスイノベーションを起こしたい人にとって示唆に富む。
また、「人をつなぐ力」の章で解説される「連携力」の概念は、組織の壁を超えてプロジェクトを推進したいビジネスパーソンにとって実践的な指針となる。民間と行政の壁、部署間の壁を超えて協働する方法論は、複雑化する現代社会で求められるリーダーシップのあり方を示している。
河村氏は言う。「個人からの寄付頼みの運営は世の景気に左右される。いつか壁にぶつかると考えた。そしてたどり着いた先が民間企業や団体との連携。いかにつながり、いかに継続していくか。自身の【連携力】が求められます」(113ページ)と。
Win-Winの関係構築とステークホルダー戦略
河村氏の近年の活動で特に興味深いのは、食品企業の「廃棄コスト削減」という経済合理性に着目し、発生する食品ロスを支援活動に活用する取り組みだ。企業にとっては社会貢献になると同時に、コスト削減というメリットが生まれ、Win-Winの関係を構築している。
この視点は、「CSR」や「社会貢献」を掲げるビジネスパーソンにとって示唆に富む。単なる理念や善意だけでなく、各ステークホルダーの具体的なメリットを見出し、持続可能な仕組みを構築する思考法は、ビジネスモデル構築においても応用できるだろう。