【影響力を上げる】「個人の想い」で「社会」を動かした、本物のインフルエンス戦略とは?
◎ 児童養護施設や児童相談所の存在を社会に知ってもらうこと
◎ そこで暮らす子どもたちの現状を伝えること
◎ より多くの支援の輪を広げること
それが意図でした。ランドセルを10個も購入するという一見突飛に見える行動は、社会的養護の現状を可視化し、支援の必要性を訴えかけるために、私なりに周到に用意した計画の第一歩でした。
贈り主の名前を漫画『タイガーマスク』の主人公にした理由
12月25日深夜1時。私は車のリアシートにランドセルを積み、目的の児童相談所に向かいました。ランドセルの寄付は緊張感の中で慎重に行わなければなりませんでした。車から次々と荷物を降ろしました。怪しすぎる人です。しかし荷物を降ろしきることができました。
「子どもたちのために使ってください」という手書きの手紙を添えました。贈り主の名前は「伊達直人」。
「伊達直人」という名前を使ったのは戦略があってのことでした。伊達直人は1968年に連載が始まった漫画『タイガーマスク』(梶原一騎原作、辻なおき作画、講談社)の主人公です。『タイガーマスク』は1969年にはアニメ化されました。テーマ曲は250万枚も売れたそうです。その時代背景こそが重要でした。
私がランドセルを置いたのは2010年のクリスマスです。2010年当時、『タイガーマスク』に夢中になっていたかつての子どもたちはすでに50代になっていました。50代といえば、企業ならば経営層、行政ならば上級職と、社会で影響力を持つ立場にいる世代です。私は、伊達直人の名で「世の中を動かしている世代」に向けてメッセージを送ったのです。
『タイガーマスク』は、作品のストーリーもこの計画にフィットしていました。
◎ 主人公の伊達直人が孤児であること
◎ 伊達直人は子どもたちのために戦うヒーローであること
◎ 伊達直人は匿名で孤児たちにファイトマネーを送っていたこと