【影響力を上げる】「個人の想い」で「社会」を動かした、本物のインフルエンス戦略とは?

2010年クリスマス、児童相談所にランドセルの贈り物が届いた/※写真はイメージです(photoAC|KeyRabbits)
<個人による寄付活動「タイガーマスク運動」は、なぜ全国に広がったのか? たったひとりでも社会は動かせる。そのための明確な戦略とは?>
*本稿は、個人、行政、民間の連携による持続可能な支援活動の仕組みづくりを実践してきた河村正剛氏の著書『影響力を上げる タイガーマスク運動を始めた人の「つなぐ力」』(CCCメディアハウス)より、一部を抜粋、加筆・編集したものです。
「個人の支援活動」を「社会課題」にシフトせよ
私が児童養護施設への支援活動を始めた当初、施設には30人ほどの子どもたちがいました。しかし年々、子どもたちの数は増え続けていきました。35人、40人、そして45人と徐々に増え、2010年にはついに、70人を超えました。
この入所者数の増加に直面し、私は施設長や理事長と対話を持ちました。
「個人で支援をさせていただいてきましたが、子どもたちの数はどんどん増えていますね。虐待や育児放棄で入所する子どもたちが、こんなに増え続けています。これは一体どういうことなのでしょう? 私がやっていることは、本当に意味があるのでしょうか?」
施設長は静かに答えました。
「河村さん、これはもう社会的な問題なのです。河村さんが個人で私たちの施設を支援してくださっても、世の中全体は変わりません。この問題は本来、もっと広く社会に発信していかなければならないのです」