最新記事

キャリア

アリストテレスが考案、今も問題解決に使われる「6つのW」──天才の80の思考

2022年2月22日(火)14時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
アリストテレス

アリストテレスの胸像 After Lysippos, Public domain, via Wikimedia Commons

<誰でも天才になれる、なりたければ。そう言うのは、世界有数の芸術・デザイン学校で20年間教鞭を執るロッド・ジャドキンス。彼はそのコツを「80の思考」としてまとめた>

何かを成し遂げる人々は、我々とは別次元で生きている人。だから関係ない。

そんなふうに思ってはいないだろうか?

しかし、実際のところ、輝かしい人間でなくとも輝かしい功績は残せると『天才はしつこい――突き抜けた成果を生み出す80の思考』(CCCメディアハウス)の著者、ロッド・ジャドキンスは言う。

いわゆる偉人であっても、学校を中退していたり、特に何かに秀でていなかったり、天賦の才など持たなかったり、会社を何度もクビになったりした人も大勢いる。

それでも、彼らは素晴らしい功績を残している。そこには"凡人"を自負する人であっても、真似できることがあるのだという。

ジャドキンスは、ロンドンにある世界有数の芸術・デザイン学校「セントラル・セントマーティンズ」で20年間教鞭を執るなかで、誰もが真似できうる天才のエッセンスを学生たちに教えてきた。学生たちの中に眠る潜在能力を呼び覚そうという狙いからだ。

また、アップル、サムスン、ポルシェなどの世界を牽引する企業で講演やワークショップを開いてきた経験から、ビジネスパーソンのクリエイティビティも刺激している。

仕事でも日常生活でも、価値あるクリエイティビティを生み出すことの難しさは誰しも実感しているはずだ。

ここでは本書『天才はしつこい』から、イーロン・マスクやジョブズ、オードリー・タン、スピルバーグ、ピカソ、ニュートン、草間彌生といった偉人たちが時代を変えるような価値を生み出した過程の一部を紹介しよう。本書で取り上げられている「80の思考」のうちのひとつだ。

何から始めていいか分からないときの「6つのW」

価値あることを成し遂げたい、事業を興したいなどと情熱をたぎらせながらも、何から手をつけたらいいか分からないこともあるだろう。

これを解決するのが6つの「W」だ。これを使うと、「何を、なぜ」したいのかが明確になる。

古代ギリシャの哲学者アリストテレスがこれを万人向けに考案し、今はとりわけ作家、ミュージシャン、アーティストに好んで用いられている。必要不可欠な問題解決ツールとして、ジャーナリスト、科学者、捜査官にも使われている。

アリストテレスは、6つのWのうちひとつでも欠かせば惨事となる、と考えていた。

伝説のファッションデザイナー、マリー・クヮントとのちの夫アレキサンダーのサクセスストーリーと共に6つのWを紐解いていこう。

■1. Who(自分は誰か)

マリーとアレキサンダーは自分たちが「誰であるか」を分かっていた。9時から5時まで働く勤め人ではなく、デスクワークのできない自由な精神の持ち主であることを。

自分を誰であるかを知るためには、「自分を質問攻め」にすることだ。うわべだけの自己認識では薄っぺらい人生になるだけなので、自分を知るまでは前に進めないでおくのがよい。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジェールからも追放される中国人
  • 3
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中国・河南省で見つかった「異常な」埋葬文化
  • 4
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 5
    なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分か…
  • 6
    不屈のウクライナ、失ったクルスクの代わりにベルゴ…
  • 7
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 8
    アルコール依存症を克服して「人生がカラフルなこと…
  • 9
    最悪失明...目の健康を脅かす「2型糖尿病」が若い世…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えない「よい炭水化物」とは?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大…
  • 9
    大谷登場でざわつく報道陣...山本由伸の会見で大谷翔…
  • 10
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」ワケ
  • 3
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 4
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中