アリストテレスが考案、今も問題解決に使われる「6つのW」──天才の80の思考
■2. What(何を)
マリーとアレキサンダーは、素晴らしいことを成し遂げたいという思いを自覚していた。しかし意欲と野心はあるものの、何をすればいいのかを見つけないことには前に進めない。
彼らは、カフェを開こうか、ジャズクラブを開こうかと考え、最終的には店を持つことに決めた。マリーが洋服に興味を持っていたからだ。心から気になることは何か、いちばん大切な関心事を掘り下げよう。
■3. Where(どこで)
彼らは自分たちがどこで暮らしたいかを分かっていた。ロンドンのチェルシーだ。1960年代初期、チェルシーだけは街の活気に溢れていた。ここで〈バザー〉という名のブティックを開き、服とアクセサリーを売った。
身を置く環境は心身の健康に大きく影響する。どこで生活し、働くかを慎重に選ぶべきだろう。
■4. When(いつ)
60年代のイギリスの服は、デザインが古くさく、生地の柄も単調だった。イギリスは新しいアイデアを欲していると感じ取ったマリーのデザインは、現代的なファッションを求める女性たちに支持を受けた。
文化やテクノロジー、価値観の最先端で生まれるアイデアを感知する力を育むことは非常に重要だ。
■5. With(何と合わせて)
What(何を)を発展させるために使う技術や素材が、With(何と合わせて)だ。
資金不足のため、マリーは初めてのファッションショーを自分の店で行った。モデルたちがマリーの革新的なデザインを見にまとい、ジャズをBGMに踊りながら登場した。ひとりはショットガンを抱え、別のひとりはカール・マルクスの本を抱え、もうひとりは死んだキジを振り回した。
意図せず室内に血が飛び散り、壁や記者たちを汚した。今では演劇とパフォーマンスアートを融合させたようなランウェイショーはごく普通のことだが、当時はあまりにも独創的だった。必要なのは資金ではなく、創意に富む革新的な手法だ。
■6. Why(なぜ)
「若者には若者らしいファッションを楽しんでほしいと、いつも思っていました。20世紀のファッションをです」とマリーは語っていた。
マリーには服をデザインする理由と目的があった。マリーが作るものはどれも、マリーの「なぜ」から生まれていた。この6つ目の「なぜ」を常に持ち合わせて、理解しているかが、いちばん重要だ。
小難しいことを考えず、剣闘士の心意気で
そもそも、素晴らしい作品や価値を生み出したいならば、小難しいことを考える前にマインドセットが必要だ。そう、古代ローマの剣闘士のような心意気がいい。彼らには知性と技術と強い意志が求められたのをご存じだろうか。
これは重要な仕事や作品に取り組むときに土台となる素質と同じ。攻撃されたときには、盾で自分の作品を守りながら応戦する必要だってある。