テレ朝・大下容子の「たたかわない生き方」──「女子アナ」、23年間の継続、女性の働き方、SNS
誰もがコロナ時代をともに生きる仲間のはず
――大下さんはブログやSNSを、全くされていないんですね。
アナウンス部のブログがありますが、更新が全然できてなくて。やったほうがいいのかなと思うのですが、あまり得意ではありません。自分じゃ御しきれない気がしています。
――そのSNSでは誰かが誰かを誹謗中傷したり、PV(ウェブサイトのアクセス数を示す「ページビュー」)を稼ぐために炎上したりと、日々事件が起きています。
SNSには自分の才能を世界中にアピールできるなどの良い面もありますが、便利なものは悪用する人にも便利なもので。そのメリットとデメリットを考えると、今のところ私は臆してしまいます。
最近は誹謗中傷への対策も進んでいますが、まだ法整備が追いついていない部分もあります。文明の利器を使いこなすつもりが、振り回されてしまったら本末転倒ですし、そのことで自分のエネルギーを消耗してしまう人が増えるのは、SNSが本来目指していたものではないと思うんです。
どうつきあうかは、本当に難しいですね。
――その一方でニュース番組の「視聴者提供」のように、市民がSNSに投稿した内容を報道で使うことも増えてきました。
これは、この23年で劇的に変わったことのひとつだと思います。「ワイド!スクランブル」を始めたときは影も形もなかったのに、今は皆さんの投稿に助けられています。
それこそ気象災害などの局地的な情報は、現地にいらっしゃる方が一番リアルなものを撮影できると思いますし、その映像は他の方へのアラート(警告)にもなります。もちろん避難を最優先にしていただきたいということは言うまでもありません。
SNSは「お互いに役立て合おう」という意識で利用すれば、とてもすばらしい繋がりになるはず。SNSを誰かを傷つける道具にしたり、それで別の誰かが悩んだりする状況が私には辛いんです。
でもあっという間に浸透したのは、それだけ便利だからなのでしょうね。だからこそ気持ちよく活用するためのマナー教育などが必要なのかなと思います。
――大下さん自身が今、興味のあるテーマはなんですか?
ゲストは人生経験を積んだ方が多く、また私には子供がいないので、若い方とお話しする機会が少ないんです。コロナ禍での私たち大人の2年間と若い世代の2年間では違うと思っていて、その世代でしか経験できない数々の行事やイベントが叶わなかった方たちの率直な思いを聞きたいです。
というのも、「せっかく地方から上京して大学に入学したのに、授業はオンラインで友人はできないし、アルバイトもできない。かといって県は跨ぐなと言われて故郷に帰ることもできない、ただ学費は納めなきゃいけない。私の青春と学費を返して」という声が視聴者から寄せられたことがあったんです。
高齢者の(新型コロナウイルスに感染した際の)重症化を防ぐことは何よりも大切だけど、その裏で我慢を強いられて言いたいことも言えない若い世代の気持ちを吐き出す場はあるのか、自分たちの伝え方を振り返って反省すべきところもあります。1点に集中して詳しく伝えることも俯瞰で観ることも必要であり、課題です。