自分の価値の高め方、軸はブレていい... LinkedIn日本代表が語る「転職2.0」時代の勝ち方
マネージャーの仕事とは何かを教えてくれた1冊
── 村上さんがキャリアやマネジメントの観点で特に影響を受けた本はありますか。
古典を読むことが多いですが、なかでも毎年読み返すのはデール・カーネギー氏の『人を動かす』です。人間は太古の昔から変わっていないのだと気づかされました。人の心に響くリーダーになるにはどうしたらいいのか、リーダーシップやマネジメントの要諦が書かれた名著です。
マネージャーになる方におすすめする本といえば『HIGH OUTPUT MANAGEMENT』。インテルが最強だった80年代に、元CEOのアンディ・グローブ氏がいかにしてチームを築いてきたのかを丁寧に書き下ろした傑作です。この本から、マネージャーの仕事とは究極的に、「メンバー一人ひとりが活躍できる舞台を整えること」だと学びました。
本は、著者の知恵が集約され、編集者などその道のプロたちが関わってできるもの。だから何かを学ぶうえで、本はとてもコストパフォーマンスがいい。
新しい分野を学ぶときは、ゆるいネットワークを通じて、その分野の専門家におすすめの本を3冊尋ねるようにしています。第一線のプロがすすめてくれた本を読むのは、まるで「知の高速道路」に乗るようなものですから。
新装版 人を動かす
著者:デール・カーネギー
翻訳:山口博
出版社:創元社
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HIGH OUTPUT MANAGEMENT(ハイアウトプット マネジメント)
人を育て、成果を最大にするマネジメント
著者:アンドリュー・S・グローブ
序文:ベン・ホロウィッツ
翻訳:小林薫
出版社:日経BP
── 最後に、村上さんの今後のビジョンを教えてください。
この20年弱はモバイルの領域に力を注いできましたが、この10年は日本の労働市場をよくすることに寄与していきたいですね。それがLinkedInの日本代表になった理由でもあります。
いまの日本の労働市場は個人と企業とのマッチングがうまくいっていないので、その精度を上げていきたい。働く人が自分のスキルや経験にレバレッジをきかせて、社会に還元できている実感をもつこと。これが働きがいにつながります。そうした働きがいのある社会づくりに寄与していきたいですね。
村上臣(むらかみ しん)
青山学院大学理工学部物理学科卒業。大学在学中に仲間とともに有限会社「電脳隊」を設立。2000年8月、株式会社ピー・アイ・エムとヤフー株式会社の合併に伴いヤフー株式会社入社。2011年に一度退職した後、再び2012年4月からヤフーの執行役員兼CMOとして、モバイル事業の企画戦略を担当。
2017年11月に7 億5600万人が利用するビジネス特化型ネットワークのリンクトイン(LinkedIn)日本代表に就任。複数のスタートアップの戦略・技術顧問も務める。主な著書に『転職2.0』(SBクリエイティブ)がある。
flier編集部
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