自分の価値の高め方、軸はブレていい... LinkedIn日本代表が語る「転職2.0」時代の勝ち方
── 業務内容の固有性が高くてタグを複数見つけられないという方には、どんなアドバイスをしますか。
実は自社にしかない業務は少なくて、一段上のレベルで認識すると、他の業界でも通用するものがほとんど。普段「どんな能力を発揮し、どんな課題を解決しているのか」を掘り下げるといいでしょう。
たとえば調整業務に従事している営業職なら、「他部署の人とも信頼を築き、ウィンウィンの状況を見つけ出す力」を発揮している、というように解像度を上げていく。すると、多様なステークホルダーの強みや弱みを補完してコンフリクトを解消する、コンサルタントという選択肢も出てくるでしょう。
一人で解像度を上げるのが難しい場合は、キャリアコンサルタントなど外部の力を使うのも手です。ほかに役立つのは「他己紹介」。仲のよい人が自分自身のことを他の人にどう紹介してくれるのかを見ます。他者の目線は市場に近いので、自分の何がバリューになるのかがわかります。
企業が「自律的な人材」に選ばれるには
── 転職2.0の世界では、自律的に学び続ける人材が求められるはずです。企業側がそうした人材に選ばれるために、採用や育成でどんな点を意識するとよいでしょうか。
この10年で、『ALLIANCE』の世界は日本でも当たり前になっていきます。日本企業の多くはこれまで、新卒から定年まで40年ほど働くことを前提としていました。各事業に詳しいゼネラリストが役員まで上がっていき、社内ネットワークがものをいった。
ところがグローバルな競争が激化し、自社の技術やリソースだけで解決できる課題が減っている。要は企業の戦い方が変わってきているわけです。そんななか、社内外の適切なパートナーとウィンウィンの状況をつくり出せる人材の採用・育成が重要です。
また求職者側は、「この5年でこういった経験を積んで、こんなスキルを身につけたい」などと考えて、会社を選びます。企業側に問われるのは、彼らの成長をどうサポートするか。「本業でこの目標を達成したらこんな力を培うことができる」といった未来図を見せ、研修や書籍費の補助など、能力開発の機会も提供していく必要があります。
── 今後は、広く浅い「ゆるいネットワーク」がますます重要になります。ゆるいネットワークを育てるために、村上さんが実践していることは何ですか。
オンライン・オフライン問わず、自分とは異なる業界にいる面白い人の話を積極的に聞きにいくことです。面白い人は面白い人を知っているもの。誰かにお会いしたら、その人が面白いと思う人を紹介してもらうタモリのテレフォンショッキング方式をとるんです(笑)。
面白がり力がある人は強いですね。自分にとっては何気ない一言も、相手にとっては考えるヒントになる可能性が高い。その意味でも、異なる背景にある人との対話には大きな価値があります。