「話すことが苦手だった」メンタリストDaiGoの人生を変えた話し方の科学
DaiGoが編み出した「独自の会話術」ではない
話し方や会話術は人類普遍のテーマであるらしく、古今東西、数多くの研究がなされてきた。
そこで明らかにされている内容は、何千、何万という人を集めて行った実験に基づいたものだ。つまり、話術に長けた特定の誰かの独特のスキルでもなければ、飛び抜けたプレゼン力を持つカリスマ起業家に学ぶわけでもない。
だからこそ、誰もが身につけることができるスキルなのであり、DaiGo氏が言うように、「誰が真似しても一定の成果が出せる再現性」をも備えている。
科学に基づいているということは、よりよい話し方を学んで身につけようとする人にとって大きなメリットなのだ。
土台となる人柄はそのままに、スキルを上乗せしていきましょう。
ゆったりとした語り口も、時々噛んでしまう不器用さも、人前に出ると緊張してしまう性格も、私のように好きなジャンルの話はつい早口になってしまうクセも、スキルと組み合わせれば独特の魅力となります。(6ページ)
したがって本書の内容も、世間の圧倒的な支持を集めるDaiGo氏が編み出した「独自の会話術」を披露する、というようなものではない。
また、会話の隙間を埋めるネタの探し方や、その場を切り抜けるテクニックといったものを伝授する本でもない。
それよりも、今のDaiGo氏を作り上げた土台とも言える「科学的話し方」について、そのスキルを一から分かりやすく共有することに重きが置かれている。
そのため、読んだ人はDaiGo氏と同じように実践でき、DaiGo氏のような「超トーク力」を身につけられる、というわけだ。
カナダの研究から分かった「雑談のメリット」
コンプレックスを克服すべく話し方の科学を学び始めたDaiGo氏は、多くの研究に目を通すうちに、あることに気が付いた。それは、どんな会話にも一定のルールがあるということだった。
オフィシャルな場での日常会話や、商談、プレゼン、会議、あるいはプライベートでの世間話や雑談、込み入った相談事など、どんな会話にも「原理原則」がある。それを知れば、自分の話を理解してもらえるだけでなく、場を盛り上げたり、相手との関係を深めたりすることも可能になるという。
本書には、その「原理原則」が数多く紹介されている。どれもDaiGo氏自身が学んで実践し、身につけてきたものばかりだ。
例えば、DaiGo氏は以前、雑談について「雑な話だったら、しないでくれる?」「間を埋めるような会話をする必要ってあります?」と取材で答えたことがあるそうだ。だが、ある研究を知って、その認識を改めさせられたという。