「話すことが苦手だった」メンタリストDaiGoの人生を変えた話し方の科学
それはカナダの大学の研究チームが行った研究で、雑談をする人はしない人に比べて周囲からの好感度が高く、能力の評価も高くなる傾向にあったのだ。さらに、重要なプロジェクトのメンバーに選ばれる確率も上がり、その人が困っているときには周囲からの助けを得やすいことも分かった。
これを知って雑談のメリットに気づいたDaiGo氏は、ノーベル賞を受賞した心理学者・経済学者ダニエル・カーネマン博士の理論から導き出した会話テクニックを取り入れ、心理学の世界でよく知られた研究事例を活用するなどして、「科学的に最強な雑談力」を身につけていった。
また、雑談によって相手にいい印象を残すには、いい後味を演出する「話し方と聞き方の基本形」と言うべき3つのルールがあるが、DaiGo氏は今でも、このルールを日常的に守っているという。
人が学んだことをすぐ行動に移せない理由
この他にも、神話研究によって明らかになった「ストーリーテリング」の効果や、相手に受け入れてもらうために必要な「内面の静けさ」に関する研究、さらには「聞く力」を高める具体的な会話例など、場面ごとに、有効な話し方のスキルやコミュニケーションの注意点などが解説されている。
ただし、これらを全て学んで実践すれば、あなたもDaiGo氏のようになれる......とは述べていない。それよりも、新しく取り入れた知識が自分自身の問題を解決してくれる、という強い関連性を感じることが重要だと説く。
なぜなら、人が新しいスキルを身につけようとするときは、現状を維持しようとするバイアスが働く。学んだことをすぐ行動に移せないのは、このためだ。
そうなるのを避けるためには、まずは自分が実際に悩んでいる問題に目を向け、それを解決してくれる知識を得ることから始めたほうがいい。
大切なのは、今、あなたが強く欲している「話し方」の情報にふれること。それが読んで得た知識を行動へとつなげる動機づけになるのです。(中略)話してみて、相手の反応を見て、対応するページを読み返し、また試す。この繰り返しの先に、目指すゴールがあります。(25ページ)
話し方や他人とのコミュニケーションに悩んでいる人の中には、それを克服するには自分の性格を変えなければいけないと考えている人もいるかもしれない。
だが科学に基づいたスキルを実践することは、性格や得手不得手には関係なく、また、何歳からでもチャレンジできる。
自分の話し方が変われば、周囲の反応も劇的に変わるだろう。そこから、新たな人生の扉が開かれることもあるかもしれない。
DaiGo氏のようになれるかどうかではなく、自分自身が望む自分になるための財産として、一生ものの「超トーク力」を身につけてみてはどうだろう。
『超トーク力 心を操る話し方の科学』
メンタリストDaiGo 著
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