最新記事

インタビュー

「万病の根源って『仕事』じゃないですか...」 のんびり屋として生きてきた彼女の心の充電法

2020年8月12日(水)16時20分
채널예스 ch.yes24.com 翻訳:生田美保

大変なことが起きてもう生きていけないと思うときでも、大切な人と笑いとばしてしまえば、結構なんてことなくなるんです(2019年3月11日)

<発売2カ月で7刷。韓国の人気イラストレーターによるエッセイ『怠けてるのではなく、充電中です。』が、日本でも話題を呼んでいる。ベールに包まれていた著者のダンシングスネイルさんに、名前の由来、そしてこの本を出した理由について聞いた>

『怠けてるのではなく、充電中です。』(生田美保訳、CCCメディアハウス)は、すばらしい「絵」と「共感能力」で多くのベストセラーを生み出すも、これまでベールに包まれていたイラストレーター「ダンシングスネイル」の初のエッセイ。

『死にたいけどトッポッキは食べたい』(ペク・セヒ著、山口ミル訳、光文社)、『そのまま溢れ出てしまってもいいですよ』(未邦訳)、『一人でいたいけど寂しいのは嫌』(未邦訳)など、見ているだけで癒される絵で多くの読者から絶賛された作者が初めて自分の話を綴った。

長い間無気力症とうつを患い、カウンセリングを受けてきた作者は、無気力とうつは病気ではない、特別なことではないと言う。風邪を引いたら体を労わるように、無気力症にかかったときもそうやって心をケアすればいいんですと、経験から編み出した「心の充電法」を伝授する。

「なにもしないのが役に立つ」という作者の言葉のように、この本に紹介された心の充電法は決して大げさなものではない。小さくてつまらないことにみえるが、ときにはくだらないアイデアや日常の中の些細な行動が思いがけない癒しと楽しみになると作者は言う。そしてこう問いかける。

「空っぽの心を満たしてくれるあなただけの小さな儀式は何ですか?」

(編集部注:以下、ダンシングスネイルさんのインタビュー)

――ベールに包まれたイラストレーター界の秘密兵器、ダンシングスネイルさん! 名前が印象的ですが、どんな意味なのでしょうか。

生きていく中でいつも私の足を引っ張るのは「遅い」ということでした。学校でお昼を食べるときはいつもクラスで一番ビリだし、しゃべるのもゆっくりで、理解も遅く、文章を読んだり絵を描くのも遅かったんです。友達とおしゃべりしているときも、みんなが笑い終わってから一人笑ったり。そんな自分が「カタツムリ」みたいだなと思いました。

韓国で「のんびり屋」というアイデンティティを持って生きることは決して簡単なことではありません。心の中では常に焦りを抱えて生きることになります。そんなとき、遅いものを見ると友達のように思えて、心が楽になり、なぐさめられました。私だけじゃないんだ、という気がしたんです。

みんなカタツムリは遅いと考えますが、実はカタツムリは自分にちょうどいいスピードで生きているんです。私もそんな風に生きたくて「スネイル」をペンネームにしたんですが、遅くても、踊るように楽しく人生を生きたいという思いから、踊るカタツムリ、「ダンシングスネイル」というアイデンティティを作りました。

【関連記事】無気力症だった韓国の人気イラストレーター「キラキラしたSNSを見ないで」

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

ローマ教皇の葬儀、20万人が最後の別れ トランプ氏

ビジネス

豊田織機が非上場化を検討、トヨタやグループ企業が出

ビジネス

日産、武漢工場の生産25年度中にも終了 中国事業の

ビジネス

豊田織機の非公開化報道、トヨタ「一部出資含め様々な
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 3
    トランプ政権の悪評が直撃、各国がアメリカへの渡航勧告を強化
  • 4
    健康寿命は延ばせる...認知症「14のリスク要因」とは…
  • 5
    アメリカ鉄鋼産業の復活へ...鍵はトランプ関税ではな…
  • 6
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 7
    ロシア武器庫が爆発、巨大な火の玉が吹き上がる...ロ…
  • 8
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 9
    関税ショックのベトナムすらアメリカ寄りに...南シナ…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 4
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 7
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 8
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中