最新記事
インタビュー

「不安に耐えるか、退屈に耐えるか」ZOZOを去った田端信太郎はいま何を考えているか

2020年3月10日(火)17時25分
朴順梨(ライター)

petersbook20200310interview-2-2.jpg

Newsweek Japan

帯を書いたことで、版元公認になれたはず

サロン内でも最重要キーワードになっている「ブランド人」の元ネタが、トム・ピーターズの『ブランド人になれ!』。日本では2000年に出版された本だが、何も古びていないし、むしろ今こそ読むべきだと、田端氏は断言する。


この本の巻頭(に引用されたエピグラフ)に「新しい経済の基本的単位は、会社ではなく、個人になる。仕事は、固定化した管理組織によって与えられ、コントロールされるのではなく、既存の組織外で個人事業主の集団によって遂行される。電子で結びついたフリーランサー、すなわちEランサーが流動的な臨時のチームをつくり、製品を生産・販売したり、サービスを創造・提供したりする。仕事が終わればチームを解散して再び個人事業主にもどり、次の仕事を求めてさすらう」と書いてあるんですけど、これってまさに現在の話じゃないですか。

何も間違ってないし、何も古くなってない。ソーシャルメディアも何もない時代に出たこの本に、やっと時代が追いついた。むしろ早過ぎた本で、いま読むべきものだと思うんです。

『ブランド人になれ!』をそのまま自書のタイトルに使った(『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』幻冬舎、2018年刊)のは、編集者ではなく自身のアイデアだと明かす。この「タイトル合わせ」が縁となり、トム・ピーターズ版の帯は現在、田端氏が担当している。


本のタイトルを合わせるのはおこがましいと思ったんですけど、偉大なる先人へのリスペクトということで。今では「ブランド人」って言葉自体が田端を連想させるものになったから、僕にとってはありがたいことだけど、先人の肩に乗っかっているだけです(笑)。

だから、帯を書くことで版元に公認されたことが、とてもうれしくて。

誰かに「マッキンゼーにいた人の世界的なベストセラーを、田端さんがパクっただけでしょ」と言われたら、「何を言ってるんだ、ファン代表として帯を書かせてもらったんだから、日本では田端の本は版元公認なんだ」と言ってやりたいと思います。

ジキルとハイドみたいなところがある

実は筆者は田端氏のSNSでの暴れぶりに眉をひそめてきたのだが、こうして会って話してみると非常に物腰がソフトで、いささか拍子抜けしてしまう。とはいえリアルでも破綻していたら、それはそれで問題なのだが......。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

ミャンマー地震の死者1000人超に、タイの崩壊ビル

ビジネス

中国・EUの通商トップが会談、公平な競争条件を協議

ワールド

焦点:大混乱に陥る米国の漁業、トランプ政権が割当量

ワールド

トランプ氏、相互関税巡り交渉用意 医薬品への関税も
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...スポーツ好きの48歳カメラマンが体験した尿酸値との格闘
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    最古の記録が大幅更新? アルファベットの起源に驚…
  • 5
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 6
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 7
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 8
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 9
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 10
    ロケット弾直撃で次々に爆発、ロシア軍ヘリ4機が「破…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 5
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 6
    「低炭水化物ダイエット」で豆類はNG...体重が増えな…
  • 7
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 10
    現地人は下層労働者、給料も7分の1以下...友好国ニジ…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 5
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 6
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 7
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 8
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 9
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中