SNSの申し子・田端信太郎、自著と同じタイトルの「元ネタ」本を熱く語る
言われてみれば、確かに田端氏の著書『ブランド人になれ! 会社の奴隷解放宣言』(幻冬舎)も「名乗りをあげろ!」や「上司を共犯者にせよ!」など、勢いのある煽り文句がリズミカルに並んでいる。これはトム・ピーターズ版の訳者である仁平和夫氏のスタイルにインスパイアされた結果なのだそうだ。
本当にこの翻訳は憑依しているというか、よくこんなふうに訳せたなと感心します。もしかしたら、原文を超えているかもしれない。ビジネス書を1冊選べと言われたら分からないけれど、5冊選べと言われたら確実にリストに入ると思います。
SNSは第三者から見たプロレス
田端氏は大学卒業後、NTTデータからリクルートを経て、ライブドアに出版社のコンデナスト、LINE、そしてZOZOと移ってきたが、2019年12月にZOZOを退職している。
そんな彼はサラリーマン人生の総括として、2019年12月に『これからの会社員の教科書――社内外のあらゆる人から今すぐ評価されるプロの仕事マインド71』(SBクリエイティブ)を出版した。こちらは煽るどころか仕事の基本を丁寧に、しかも「です」「ます」調で書いているのが特徴だ。何か心境に、変化でもあったのだろうか......?
僕の言っていることは基本的には一貫していて、『ブランド人』はかぶき者というか煽りに行っていて、『会社員の教科書』は正統派なんです。片方は攻めでもう片方はディフェンスみたいな、その程度の違いです。
だってビジネスで何をやるべきかの答えって、おそらく皆分かってると思うんですよ。ナレッジというよりは覚悟とか気合いとか、モチベーションが問われてくる。仕事には特効薬のような知識なんてなくて、いかに最初の一歩を踏み出せるかが大事なので、その一歩を踏み出すためのものを書いています。
本やSNSは受け取る側との距離が遠いメディアなので、強めに煽らないと読む人に届かない。だけど、ラップ風に煽ったものが届かない層も存在する。そういう人たちのことを思いながら『会社員の教科書』を書きました。
2019年からYouTubeとライブ配信プラットフォームのLINE LIVEで配信している「タバラジ」でも、ビジネスにまつわる知識やマナーを解説している。有名無名を問わずツイッターでバトルと炎上を繰り返してきた田端氏とは一転、こちらも親切かつ丁寧な内容になっている。
ツイッターはこちらからフォローを頼んだわけではないし、なんの義務も感じてないから、「影響力を自覚してください」とか言われても、勝手に見に来てるだけだろうという感じではあるんです。見なくて済む理由はたくさんあるのに、それでも僕のツイッターを見に来るのは、心のどこかに田端が引っかかっているからでしょう(笑)。
正直、SNSは第三者から見たプロレスというか、第三者から見た面白さを意識している部分はあります。
でも本やYouTubeは、ツイッターとはまた違っています。見た人の1人でも2人でも僕の言っていることを実践して人生がハッピーになったら、こんなに素晴らしいことはない。
だから時には煽りつつも、その人が一歩前に踏み出せるようなことを伝えていきたい。ただ、YouTubeは本よりもマス媒体なので、広く伝えるための方法を模索している最中です。