自分に自信がないのは克服できる、自分ひとりで(認知行動療法の手引き)
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<自信のなさから、うつ、無気力、対人恐怖症まで。新しい年には、自分自身で自分の思考を改善し、行動を変えていくのがいいかもしれない>
日本人は自信がない、とよく言われる。さまざまなアンケート調査などでも、そうした結果が出ている。謙遜を美徳とする文化的背景もあるだろうが、それでもやはり、胸を張って「自分に自信がある」と答えられる日本人は少ないはずだ。
自信過剰に振る舞う人を見て「ああはなりたくない」と思う人もいるかもしれないが、自信をもてないことは、決してよいことではない。実際、人生のさまざまな場面で悪影響を及ぼしている。
だが、心の内に深く関わる問題だけに、自信をもてるようになりたいと思っても、なかなか他人には相談しづらい。そんな場合に、自信を付けるための、具体的で現実的なスキルを教えてくれる本が助けとなるだろう。
2004年に初版が刊行された『自信をもてないあなたへ 自分でできる認知行動療法』(メラニー・フェネル著、曽田和子訳、CCCメディアハウス)は、まさにそんな本。多くの人に支持され、着実に版を重ね、15年の長きにわたり読み継がれてきたロングセラーだ。
自分自身で自分の思考を改善し、行動を変えていく――つまり、「自分でできる」という点が本書の特徴だ。帯にはこうある。
うつ、不安、無気力、パニック障害、対人恐怖症......
そんなあなたの「いやな気分」が少しずつほぐれていきます。ぜひ、この本の課題に取り組んでみてください。
「自信をもつ」に留まらないようだが、それについては後述する。
自己評価の高さを知る10の質問
そもそも「自信がない」とは、どういうことか。それは「自己評価が低い」ことだと本書は言う。自分がもっている特性や能力ではなく、自分自身に対して抱く全般的な意見が「自分はダメな人間だ」「自分は役立たずだ」といった否定的な見方になる場合がそうだ。
本書の冒頭には10の質問(下記)が用意されており、それぞれに5段階で回答するよう促される。
・これまでの経験から、自分の価値を認め大切にすることを学んだ。
・自分に対して好意的な意見を持っている。
・自分をきちんと扱い、自分にふさわしい気遣いをしている。
・自分が好きだ。
・自分の弱点や欠点と同じくらい、素質や技能や能力や長所も重視している。
・自分に満足している。
・自分には人から関心や時間を注いでもらう資格があると思う。
・自分の人生にはいいことが起こって当然だと信じている。
・自分に対する期待は、人に対する期待と同じで、厳しすぎるものではない。
・自分に対して批判的ではなく、むしろやさしく励ましている。
それに対して「強くそう思う」「だいたいそう思う」「ときどきそう思う」「あまりそう思わない」「まったくそう思わない」のどれに当てはまるかを答える。このとき、「強くそう思う」以外の回答が1つでもあるようなら自己評価が低いとされる。
自己評価が低い人は、仕事では失敗を恐れるあまり完璧主義になったり、無理な激務をこなそうとしたりする。自意識が強いためリーダーのように振る舞ったり、反対に、どんな犠牲を払ってでも他人を優先しようとしたり、親密な関係から身を引こうとしたりする場合もあるという。