最新記事

トレーニング

筋トレは量か強度か 「囚人筋トレ」のポール・ウェイドが全てを語った

Dragon Door Interviews Paul “Coach” Wade

2018年8月6日(月)20時30分
エイドリアン・ハーベイ、RKCII

そして現在、パベル・ツァツーリン、ダン・ジョンといったパイオニアたちが、GTGトレーニング(greasing the groove:1日通して少しずつ行うトレーニング)やイージー・ストレングスの概念について語っている。トレーニングの強度を少し下げる代わりに頻度を増やすという手法だ。これらは全て、多くの人に影響を与え、トレーニングに対する人々の見方を変えた。それ自体はいいことだ。だが間違いなく、あと50年は議論が続くだろう。

私の考え方は、古くてかなり単純なものだ。私自身と少し似ている。本物の力と筋肉量を強化することは、どのように体がストレスに適応するかということだ。適応はストレス因子に比例し、ストレス因子を回避する方法はない。ハードなトレーニングをするほど、いい結果が得られる。

筋肉の増強に関しては、ストレス因子の効果は累積的ではない。体は短時間で判断を下す。約225キロでベンチプレスを行い、5分後、約22.5キロでベンチプレスを行っても、体が約247.5キロのベンチプレスを行ったと判断することはない!

体にストレスを与える余地は限られており、適応によって筋肉の成長は止まり、代わりにスタミナが強化される。筋肉を成長させ、力を付けたい場合、限界まで追い込んでも意味はない。22.5キロのベンチプレスと同じで、単なるエネルギーの無駄遣いだ。

私は安全上の理由から、限界まで追い込むトレーニングはあまり好まない。自分の体をコントロールするためのエネルギーを常に残しておくべきだと考えている。もしジム帰りに誰かに襲われるなど、危機的な状況に陥ったらどうするのだろう? 何が起きるかは誰にも分からない。

私は自重トレーニングに取り組むアスリートに対して、通常は、まずウォーミングアップを行い、余力が残る強度で2~3セット、とアドバイスしている。これがほとんどの人に適した方法だ。

今もハードにトレーニングしている

ドラゴンドア:今後の予定は?

ウェイド:今? 今夜は早めに休みたい。明日はインバース・トレーニングと自重の握力トレーニングを行う。そしてこの夏は、プリズナートレーニング3の執筆に取り組む。私はこの本に大きな希望を抱いている。考えただけでワクワクしてくるよ!

それ以外は、一日一日を大切に生き、健康を維持し、人生が与えてくれるものをこの目でしっかり見るだけだ。私は今もハードにトレーニングしており、数少ない選ばれた生徒たちのパーソナルトレーニングを行っている。おそらくドラゴンドアのファンから何百通ものメールが送られてきて、返信することになる。想像以上の楽しみや喜びを与えてくれるだろう。インタビューしてくれたことに感謝!

(2012年4月)

From Dragon Door(『プリズナートレーニング』原書出版元)

(翻訳:ガリレオ)


プリズナートレーニング
 ――圧倒的な強さを手に入れる究極の自重筋トレ』
 ポール・ウェイド 著
 山田雅久 訳
 CCCメディアハウス


永遠の強さを手に入れる最凶の自重筋トレ
 プリズナートレーニング 超絶!!グリップ&関節編』
 ポール・ウェイド 著
 山田雅久 訳
 CCCメディアハウス

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

トランプ次期大統領、予算局長にボート氏 プロジェク

ワールド

トランプ氏、労働長官にチャベスデレマー下院議員を指

ビジネス

アングル:データセンター対応で化石燃料使用急増の恐

ワールド

COP29、会期延長 途上国支援案で合意できず
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 2
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 3
    北朝鮮は、ロシアに派遣した兵士の「生還を望んでいない」の証言...「不都合な真実」見てしまった軍人の運命
  • 4
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 5
    ロシア西部「弾薬庫」への攻撃で起きたのは、戦争が…
  • 6
    「このまま全員死ぬんだ...」巨大な部品が外されたま…
  • 7
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」…
  • 8
    プーチンはもう2週間行方不明!? クレムリン公式「動…
  • 9
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱…
  • 10
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 5
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋…
  • 6
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対す…
  • 7
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 8
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 9
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 10
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    寿命が延びる、3つのシンプルな習慣
  • 4
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大き…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 7
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 10
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中