最新記事

対談

日本の若者がシリアルアントレプレナーを目指すべき理由【箕輪×正田】

2018年2月20日(火)15時58分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

booktalk180220-3.jpg

正田 圭(まさだ・けい)/1986年生まれ。15歳で最初の起業をし、現在はTIGALAの代表取締役。「15歳からのスタートアッププロジェクト」の発起人として、小中学生でも起業やお金について学べるような場を作ることにも取り組んでいる。著書に『ファイナンスこそが最強の意思決定術である』『ビジネスの世界で戦うのならファイナンスから始めなさい。』『15歳で起業したぼくが社長になって学んだこと』(いずれもCCCメディアハウス)。

――幻冬舎にも、まだ籍を置いている。

箕輪 今のところは。出版社の社員という肩書きは、僕にとってはとんでもないリソースです。なにしろ、本作りの権利を持てる。幻冬舎の営業マンも、製作部も、書店流通も使えるんです。しかも会社の金で。インフラを押さえるのは強いです。もちろん、見城(徹)さんに育ててもらっていると思っているのでその恩義もあります。

イケイケな編集者が何人も出版社から独立していますけど、ともすると皆、出版社の「出入り業者」になっちゃうんです。独立したすごい編集者と、出版社にいる大したことない編集者が打ち合わせをしても、最終決定権は出版社の編集者のほうにある。しょうがないですよね。プラットフォームを持っているのは出版社ですから。

僕は幻冬舎の給料がゼロになっても辞めないんです。そこで本を作り続けていることが、僕の価値だから。幻冬舎で価値を稼いで、外のサロン(箕輪編集室)とかで回収しているイメージなんですね。

今後、全てのクリエイティブ企業は僕のような個人単位の小さな組織になっていき、巨大なインフラを持つ既存企業と組むというのが主流になっていく気がします。

――正田さんが「会社を売るのはいいこと」だという、その心は?

正田 会社を売ると何がいいかって、時間とお金の両方を手に入れた状態を作り出せることです。世間一般では、定年まで働いたサラリーマンが退職金を受け取ってやっと手に入るものです。

でも、もっと早いタイミングでそれを手に入れてもいいはず。皆「今の仕事に生きがいを感じている」と言いますが、本当に好きでそれをやっているかなんて、実際のところは分かりません。もし働かないでも毎月100万円入ってくるなら、その仕事、続けないと思うんですよね。

もっと言うと、多くの人が、本当に自分のやりたいことが分かっていない。だったら会社を売って、お金と時間の両方がある状態、つまり、本当に自分がやりたいことを探せる状態を、5年に1度でも作り出せたら、人生の選択肢が広がるんじゃないかって、僕はよく言っているんです。

箕輪 その通りだと思います。仕事なんて人生の余興であって、やりたければやればいいし、やりたくなければやらなくていい。会社を売ることで、お金と時間を手に入れて、自分の本当に進みたい道を見つけられたらいいですよね。

今の時代、あらゆる業種の壁がなくなって、僕もいろいろな業種でコンサルやプロデュースをしています。そういう時代に、1つの仕事を一生続けるというのは、むしろ成長を鈍化させます。

その仕事が好きなら職人的な生き方もありでしょうが、起業家みたいな人たちは次から次にアイデアを思いついちゃう。だったら、その都度新しいことをやったほうが絶対面白い。1つのことだけ続けるというのは、起業家としてのパワーが落ちるような気がします。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

韓国尹大統領に逮捕状発付、現職初 支持者らが裁判所

ワールド

アングル:もう賄賂は払わない、アサド政権崩壊で夢と

ワールド

アングル:政治的権利に目覚めるアフリカの若者、デジ

ワールド

アングル:フィリピンの「ごみゼロ」宣言、達成は非正
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ新政権ガイド
特集:トランプ新政権ガイド
2025年1月21日号(1/15発売)

1月20日の就任式を目前に「爆弾」を連続投下。トランプ新政権の外交・内政と日本経済への影響は?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼いでいるプロゲーマーが語る「eスポーツのリアル」
  • 2
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べている」のは、どの地域に住む人?
  • 3
    「搭乗券を見せてください」飛行機に侵入した「まさかの密航者」をCAが撮影...追い出すまでの攻防にSNS爆笑
  • 4
    感染症に強い食事法とは?...食物繊維と腸の関係が明…
  • 5
    女性クリエイター「1日に100人と寝る」チャレンジが…
  • 6
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 7
    失礼すぎる!「1人ディズニー」を楽しむ男性に、女性…
  • 8
    フランス、ドイツ、韓国、イギリス......世界の政治…
  • 9
    本当に残念...『イカゲーム』シーズン2に「出てこな…
  • 10
    オレンジの閃光が夜空一面を照らす瞬間...ロシア西部…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 3
    睡眠時間60分の差で、脳の老化速度は2倍! カギは「最初の90分」...快眠の「7つのコツ」とは?
  • 4
    「拷問に近いことも...」獲得賞金は10億円、最も稼い…
  • 5
    メーガン妃のNetflix新番組「ウィズ・ラブ、メーガン…
  • 6
    轟音に次ぐ轟音...ロシア国内の化学工場を夜間に襲う…
  • 7
    【クイズ】世界で1番マイクロプラスチックを「食べて…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    ドラマ「海に眠るダイヤモンド」で再注目...軍艦島の…
  • 10
    【クイズ】次のうち、和製英語「ではない」のはどれ…
  • 1
    ティーバッグから有害物質が放出されている...研究者が警告【最新研究】
  • 2
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 3
    体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
  • 4
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊…
  • 5
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 8
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 9
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵…
  • 10
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中