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自ら考える部下の育て方は「日本一オーラのない監督」が知っていた

2018年1月19日(金)17時50分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

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写真提供:ほぼ日刊イトイ新聞

中竹のスタイルとは

概念的な話だけをしていても分かりづらいので、私自身のスタイルを例に挙げながらスタイルの重要性を説いてみよう。まず、私のスタイルの大きな特徴は「日本一オーラのない監督」であること。これは自分でも気に入っているキャッチフレーズの一つでもある。その他、周りの期待に応えないと同時に、他人に期待しないスタンスを持っている。また、指導している選手たちを怒ることよりも、逆に私が謝ってしまう。さらに、私自身がスタイルを重視していると同様、選手たちにもスタイル確立を勧めている。

中竹スタイル1 ■日本一オーラのない監督

私は、早稲田大学ラグビー蹴球部の監督になったころから、学生や周りのコーチに「オーラがない」と言われ続けてきた。それは、私の前任である清宮克幸氏(現在、ヤマハ発動機ジュビロ監督)が強烈なオーラを放つカリスマ的リーダーだったため、二人のギャップが特に目立ったのではないかと思う。

清宮氏を簡単に表現するとこうなる。とにかく、どこにいても、誰といても、強烈な存在感で常に集団の先頭に立っている。どっしりとした体格で、猛獣が眼力だけで獲物を凍らせるような鋭い視線と、自信に満ちた明確な指示で、組織をトップダウンで動かしていく。

一方で、私の場合、集団の中に入ってしまうと、どこにいるか分からなくなるほど、存在感がない。身長は結構あるものの細身でなで肩のため、人に対する威圧感は皆無。人ごみに溶け込んでしまうため、ラグビー場でもあまり気づかれることがない。声には迫力がなく、口調も視線も柔らかで、表情もどこか自信がなさそうに見えるようだ。

このように清宮氏と比較すると自虐的に聞こえてしまうかもしれないが、私は決して自らを卑下しているつもりはない。「日本一オーラのない監督」というのは、いつの間にか、私のキャッチフレーズとして定着してきたように思える。私自身がこのキャッチフレーズを気に入っている理由は、明確なメリットがあるからだ。

まず、選手やスタッフ、コーチ陣は監督である私を完璧な人間、いわゆる雲の上の存在と思っていないため、常に同じ目線で素直に意見が言える。対等に議論もできるし、反抗だってできるだろう。カリスマリーダーであれば、ときとして「裸の王様」になる危険をはらんでいるが、私のようなタイプであれば、その懸念は少ない。組織に対する疑問点や私の間違っているところをすぐに指摘してもらえる。私の方から選手に対して「最近どう?」などと、プライベートの話や将来の仕事に関する話題などを気軽に話しかけることも可能だ。よりフラットな関係が築けることから、情報が入りやすく、組織内に溜まった不満や意見も比較的耳に入りやすい環境を作ることができる。

単純にいえば、オーラのないリーダーは情報をたくさん仕入れることができる。もちろん悪口といった嫌な情報も集まってくるが、それは受け取る側が我慢すれば済む話である。

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