最新記事

キャリア

87%の人が「仕事が嫌い」 だから私は「働き方実験」を始めた

2017年8月10日(木)14時42分
アンディ・スワン ※編集・企画:情報工場

Rkankaro-iStock.

<ある統計によれば、世界中の労働者の87%が仕事への意欲を失っている。そこで1年間、さまざまな短期の仕事にチャレンジするプロジェクトを行った筆者が、最終的に見つけた大事なこと>

2014年に私は、自分が働くことに嫌気がさしていることに気がついた。魂が吸い取られるような作業と、到底達成できそうもないチャレンジの連続は、私の心に虚しさしか残さなかったのだ。

その年のある暑い夏の日、私はダイニングテーブルで仕事について思いを馳せていた。あまりにも多くの人々が仕事と不幸な関わりをしていた。ある統計(ギャラップ調査)によれば、世界の労働者の実に87%が自分の仕事に意欲を失っているという。

私の人生で初めての仕事は新聞配達だったが、その頃によく抱いていた疑問を思い出す。「なんでこんなことになっているんだ? もっと良いやり方があるはずだ」

さまざまな考えが錯綜するうちに、1つのアイデアが浮かんだ。忘れないうちにブログ・キュレーションサイトの「ミディアム」に投稿することにし、そこで「ワーク・プロジェクト」を始めると宣言した。その後、簡単なウェブサイトを作成し、こんな文言を掲げた。「1年間、普通じゃない仕事をしながら生計を立てることが、果たしてできるだろうか?」

こうして1年にわたる長期の「実験」がスタートした。さまざまな短期の仕事にチャレンジしていくのだ。

私自身をモルモット(被験者)にしたこの実験では、働くことの意味を明らかにするとともに、仕事が私たちにどのような影響を与えるかを知ろうとした。そうすれば、誰もが自分の仕事を見直し、人生を納得のいくように再調整できるということを証明できると考えた。

自分の仕事の価値を知る

実験中は多くの人に会い、文献を読みあさった。試行錯誤を繰り返し、たくさんの失敗の中からいくつかの気づきを得た。

人間らしい働き方をしようと努めるうちに、私は自分自身を「労働者」と定義するのをやめた。働く人を一定の役割や専門性の枠に押し込め、カテゴライズするのは間違っていると思ったからだ。雇用する側は(雇用者・被雇用者の上下関係などを取り払って)純粋に一緒に何かをしたいと思う人を選ぶべきだ。そうすれば、双方とも気持ちよく仕事ができ、個々の仕事への貢献度が増すはずだ。

プロジェクトの最初の3カ月は不毛に過ぎていった。私はプロジェクトを始めるまで、自分が見込みのある働き手で、優れた労働力やスキルを提供でき、仕事に付随するさまざまな雑事も卒なくこなせる人間であることを、対外的にアピールしたことがなかった。そのため、それをしなくてはならないことに気づくまで、学びのチャンスは訪れなかった。

自分の価値を雇用主にアピールし、それに対して雇用主がどう反応するかを見ることで、自分の仕事の価値を知ることができると考えた。

【参考記事】心が疲れると、正しい決断はできない

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

BRICS外相会合、トランプ関税の対応協議 共同声

ワールド

ウクライナ、米と可能な限り早期の鉱物協定締結望む=

ワールド

英、EUと関係再構築へ 価値観共有を強調=草案文書

ビジネス

ECB、中立金利以下への利下げも 関税で物価下押し
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 3
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは? いずれ中国共産党を脅かす可能性も
  • 4
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    体を治癒させる「カーニボア(肉食)ダイエット」と…
  • 7
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 8
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 9
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 10
    【クイズ】米俳優が激白した、バットマンを演じる上…
  • 1
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 5
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 6
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 7
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 8
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中