米「関税スタグフレーション」の兆候を示す全指標
Five Recession Indicators Now Raising Alarm in the US
通商政策の不確実性指数
将来の経営環境に対する不確実性だけでなく、新政権の通商政策に対する懸念も2025年に入り急上昇している。
株式市場の変動は、トランプの相次ぐ関税発動と場当たり的な実施によって拍車がかかり、企業やアナリストの間でアメリカの通商政策の方向性とその影響について疑問が広がっている。
セントルイス連邦準備銀行によると、経済政策全般の不確実性と特に通商政策に関する不確実性は、ここ数カ月で米中貿易戦争の真っ只中だった2019年以来の高水準に達した。
「通商政策の不確実性(TPU)指数は過去最高を記録し、パンデミックや米中貿易戦争時の急上昇がかすんで見えるほどだ」とスウォンクは指摘する。
「トランプの1期目の対中貿易戦争は投資と消費支出の双方に打撃を与えたが、新たな関税はより多くの国の広範な品目にわたり、二重三重になっている場合もある」と、スウォンクは述べた。
「中国(からの輸入品)にはもともと10.8%の関税がかかっているのに、10%の追加関税が2度にわたって上乗せされ、そこにベネズエラ産原油の輸入国を対象にした関税25%が加われば、関税は55.8%まで上昇することになる」とスウォンクは言う。
「鉄鋼のように特定の分野に対する関税がある場合は、さらに25%が上乗せされる。つまり1930年代以降には見られなかった水準にあっさり達してしまう。もしかすると1906年頃のような高水準になるかも知れない」