米「関税スタグフレーション」の兆候を示す全指標
Five Recession Indicators Now Raising Alarm in the US
企業の不確実性
経済学者たちは、企業経営における不確実性の増大も懸念していると指摘する。
全米独立企業連盟(NFIB)の不確実性指数は2月に4ポイント上昇し、104に達した。これは1973年の指数開始以来2番目に高い水準だ。
逆に「今が事業拡大の好機だ」と考える企業の割合は、2020年4月以来最大の下落を記録。経済が良くなると考える企業の割合は1月から10ポイント低下し、37%にとどまった。
経営者が最も懸念するコスト要因である人件費も3ポイント上昇して12%に達し、2021年12月の13%という記録的水準に迫っている。
「特に中小企業の不確実性は高まり続けている。それには多くの理由がある」
全米独立企業連盟(NFIB)のチーフエコノミスト、ビル・ダンケルバーグはこう指摘する。「今後6カ月間で経営環境が改善すると考える小規模事業者の割合は減少し、現在が事業拡大の好機だと考える企業も減った。インフレは依然として大きな問題であり、人材の質低下に次ぐ2番目の懸念事項となっている」
アトランタ連邦準備銀行の3月の報告によると、1年先の売上成長率の見通しはここ数カ月でやや上昇したものの、企業は「パンデミック前と比べて、今後の売上成長に対する不確実性が依然として高い」としている。
スウォンクによれば、NFIBのデータからは「値上げの一方で雇用が減少、もしくな(新規)雇用がゼロ」という企業が増えていることがうかがえるという。
「これは関税によるスタグフレーションの特徴を反映している。関税は利益率を圧迫し、一部は消費者に転嫁される」と彼女は述べた。