世界が注目する地方の和食文化──食団連が語る外食産業の持続可能な未来

左から、一般社団法人日本飲食団体連合会 副会長の山下春幸氏、同事務局長の家中みほ子氏
<世界的に評価される日本の食文化。コロナ禍の終息とともにインバウンドが急増し、外食産業は再び存在感を取り戻しつつある。一方で物価高や中食の普及などを要因とする「食スタイルの多様化」により、国内消費はコロナ前の水準には戻っていない。そこで「日本の食」の文化的意義と今後の展望について、一般社団法人日本飲食団体連合会(以下、食団連)の副会長・山下春幸氏と事務局長・家中みほ子氏に話を聞いた>
「どこまでが和食?」日本人とインバウンドで異なる認識
──今や日本は世界有数の美食の国として評価されています。その評価に対してどのようにお感じになりますか?
山下春幸(以下、山下) 私自身、国内外に和食店を展開しているのですが、和食は確実に世界的に評価されていると実感しています。今や世界中の主要ホテルの多くに和食店が入っているくらいですから。また、大使館で出す料理に関しても、以前はフレンチが中心だったのですが、近年では和食を出す機会が多いようです。それだけ和食に対する認知度が高まってきている証だと思います。
家中みほ子(以下、家中) 実は「和食」自体の定義が曖昧なのは課題だと感じていまして。日本人からすると、和食というと懐石料理や普段口にする家庭料理などイメージしますが、海外の方にとっては寿司や天ぷらはもちろん、ラーメンや焼肉なども和食と捉えている節もあります。
山下 海外では海老チリなどの和製中華も和食ですから(苦笑)、そこは難しいですね。私はそれぞれの地域文化が郷土料理とミックスされた料理、これを和食と呼ぶことにしています。
家中 「ぐるなび」で35歳以下の料理人のコンペティションを開催しているのですが、以前は和食料理人の方のエントリーが少ないという課題がありました。他の料理ジャンルと比較して修業期間が長く料理人が育っていないなど、お店の事情などさまざまな要因はあると思うのですが、ようやくここ数年は和食の料理人のエントリーが増え、上位の成績を収めるようになってきました。これは明るい兆しかなと感じています。