中国BYD、欧州事業見直し 戦略の失敗に対応

4月23日、中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)が欧州事業の見直しを進めている。写真は23日、上海自動車ショーのBYDブースで撮影(2025年 ロイター/Go Nakamura)
[ミラノ/上海 23日 ロイター] - 中国の電気自動車(EV)大手の比亜迪(BYD)が欧州事業の見直しを進めている。ディーラーの不足や現地に精通した経営幹部の不在、完全電動車の普及が難しい欧州市場にハイブリッド車を投入しないといった戦略面の失敗を受け、ディーラー網を大幅に拡大し、ステランティスなど欧州自動車大手の幹部を高額報酬で招き入れるなど、速やかな対応措置を取った。現職と元の幹部6人が語った。
BYDの欧州特別顧問であるアルフレド・アルタビラ氏は王伝福会長に対し、純粋な電動車を欧州で売り込むのは依然として難しいと助言。これを受けて同社は昨年12月、欧州戦略ではプラグインハイブリッド車を重視する方針を示した。
BYDは昨年6月、フィアット・クライスラーの幹部を経てCVCキャピタル・パートナーズのシニアアドバイザーを務めていたアルタビラ氏に接触し、8月に特別顧問に任命。その後、アルタビラ氏がステランティスの管理職数人をスカウトし、ドイツやイタリア、スペインなどの責任者に採用した。現職役員によると、BYDは報酬を大幅に引き上げるとともに「成長の機会」を提供したという。
BYDは2023年に欧州に進出。前欧州担当トップのマイケル・シュー氏は30年時点のEV販売台数を域内トップとする目標を掲げ、欧州のEV市場で少なくとも5%のシェアを獲得すると見込んでいた。しかし24年末時点のシェアは2.8%、販売台数は5万7000台と、想定を下回った。
現職と元の幹部によると、同社は欧州市場に関する調査を事前に実施していなかった。また、ディーラー網は主要都市に集中し、極めて小規模だった。
複数の元幹部は、BYDの根本的な過ちは、欧州をさまざまな国で構成される何十もの市場ではなく、中国や米国のような単一市場と見ていたことだと分析している。ある元幹部は、欧州各国の市場は方向性がまちまちだと指摘し、「BYDは今、それを学び始めたばかりだ」と付け加えた。