なぜANAは、手荷物カウンターの待ち時間を最大50分から15分にまで短縮できたのか
しかし、この標準時間に対して多客期の混雑している時間帯のお客様のお荷物のお預かり手続きがどのくらいの時間で完了しているかを調べてみると、お預かり手続きは平均で106秒と、標準を大きく超えていることがわかったのです。
これで現状の数値化ができました。
この実態調査の際には動画解析ソフトを使って手荷物カウンターを常時録画し、実際に付加価値を生み出している「正味作業」と、正味作業の「付帯作業」、そして「ムダな作業」に分けました。そして付帯作業をピックアップし、それにかかる所要時間を算出。それぞれの動作について、なぜ時間がかかっているのかを追求していきました。
カイゼンを続けることによって、私たちは目の前の仕事を、より良いものに変え続けることができます。
真因追求と「ムリ・ムラ・ムダ」の洗い出し
「標準的な時間があるにもかかわらず、お客様のお荷物のお預かりの時間がそれを超えたのはなぜか?」というテーマで真因追求を進めました。
すると、いろいろな真因が見えてきました。
スタッフは、お客様からカウンターで手荷物を受け取ったら、大きさや重さを計測し、タグをつけてベルトコンベアに流します。しかしカウンターとベルトコンベアの間に距離があるため、スタッフはカウンターとベルトコンベア間を何度も往復していました。
また、オプションタグ(行先、搭乗便名簿の情報以外に形状・モノなどの手荷物特性を追加で表記するために使用するタグ)や長尺もの(釣り竿、サーフボード、薙刀など)をお預かりする際の備品を探したり、取りに行ったりするために10~50メートルくらい移動する動作で時間が掛かっていました。