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日本の1人当たりGDPは先進国平均の74.6%に...財政出動と減税では日本経済は復活しない

2025年3月13日(木)13時11分
デービッド・アトキンソン(小西美術工藝社社長)*東洋経済オンラインからの転載

実は、ポーランドの1人当たりGDPも日本の1人当たりGDPの99.3%まで上がっており、2026年にはポーランドの生産性が日本より高くなると予想されています。1991年には、日本の1人当たりGDPはポーランドの3.2倍でした。

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大半の先進国と比較しても同様に、日本の1人当たりGDPは相対的に下がっています。1990年代前半、日本の1人当たりGDPは先進国平均の95%の水準を維持していましたが、2025年にはそれが74.6%まで下がると予想されています。

極めて興味深いことに、1995年は日本の生産年齢人口がピークを迎えた年です。そこから生産年齢人口は1400万人も減少しています。

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付加価値が増えない限り、賃金は上がらない

当然ながら、付加価値は賃金の源泉です。したがって、付加価値が増えない限り、賃金が持続的に上がることはありません。

言うまでもなく、生産性向上は主にイノベーションと設備投資によって実現されます。単に価格を上げるだけでは達成できません。新しい産業、新しい商品、新しい製造方法、新しい企業の在り方によって付加価値が生み出されます。

ここで、政府の下請け企業への対応が問われることがあります。政府は、大企業が下請け企業に対して不当にコスト削減を強いることを防ぎ、適正な価格を支払うよう訴えています。Gメンの数も増やしています。当然、価格転嫁が可能になれば価格は上がり、下請け企業の利益は増えます。

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