アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政権の対カナダ25%関税
そうした状況下、米政府がカナダ産品に関税を課すとどうなるか。これまでは米国とカナダ間にあたかも国境などないかのように、成牛や子牛、繁殖用・食肉処理用の牛、食肉処理・加工後の牛肉製品が行き来してきた。カナダは米国から若齢牛を輸入し、穀物飼料で肥育した後、食肉処理・加工して米国に送り返してきたが、関税発動でこうした生産プロセスは根底から崩れてしまう。
関税率についてトランプ大統領はほとんどのカナダ産品に25%を課すと警告している。その際、メキシコにも同じ措置がとられる。
米国が、カナダ産牛肉をほかの国の産品で代替することは容易でない。既に牛肉供給は不足しており、オーストラリアなど遠くからも輸入している。そもそもカナダ産牛肉は米国で不足する分を補う上で重要なのだ。
カナダの農業融資公社ファーム・クレジット・カナダは牛肉産業の成長のため牛の頭数を増やしたい考えだが、酪農家は二の足を踏んでいる。チーフエコノミストのJP・ジェルベ氏は「酪農家の一部はこの状況を1年、あるいは半年、様子見するかもしれない」と話した。
<1988年以来の頭数>
トランプ政権による関税の脅威がなければ、牛肉価格の高騰を追い風に、一部のカナダ酪農家は牛の頭数を増やしていた可能性がある。しかし実際には、値上がりを受けて、多くの農家が牛の売却を選択して利益を得ようとしている。
カナダ統計局によると、今年1月の成牛と子牛の頭数は前年同月比0.7%減(23年1月比では2.1%減)の総計1090万頭で、1988年以来の規模に落ち込んだ。
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