最新記事
アメリカ

アメリカで牛肉さらに値上がりか...原因はトランプ政権の対カナダ25%関税

2025年3月3日(月)19時50分
カナダ・アルバータ州南部で草を食む牛たち

カナダと米国の牛の頭数は米政権の対カナダ産品関税の脅威が浮上する前から減少傾向にあり、米国で74年ぶり、カナダで36年ぶりの頭数に落ち込んでいる。写真は米モンタナ州と国境を接するカナダ・アルバータ州南部で草を食む牛たち。1月18日撮影(2025年 ロイター/Todd Korol)

「肥育用子牛の買い付けを停止してしまった」――。カナダで家族経営の酪農業を営むジョン・バーグス氏はそう言って肩を落とした。購入停止は昨年11月。米大統領選でトランプ氏の返り咲きが決まったことを受け、米政府がカナダ産品に輸入関税を課すリスクが、冗談では済まなくなったからだ。

例年は11月から翌年夏まで、肥育場は3000頭の牛でいっぱいになるはずだが、今では1000頭以上のスペースが空いたままだ。

カナダは世界第8位の牛肉輸出国で、生産国としては第10位。生産量の半分以上が輸出に回り、そのうち75%が米国向けだ。だが、ここ何年も乾燥した気候が続き、飼料穀物の生育に打撃となったためコストが上昇。北米の農家は牛の肥育数を減らしてきた。

カナダと米国の牛の頭数は米政権の対カナダ産品関税の脅威が浮上する前から減少傾向にあり、米国で74年ぶり、カナダで36年ぶりの頭数に落ち込んでいる。トランプ政権は食品価格の引き下げを主要政策目標に掲げるものの、国内食料品店で牛肉価格が以前から上昇している。

<米都市部では2020年から値上がり>

米労働省労働統計局(BLS)によると、都市部における牛ひき肉の平均価格は2020年初めから43%上昇した。国際通貨基金(IMF)調べでは、世界で牛肉が34%値上がりしている。

試写会
『クィア/Queer』 ニューズウィーク日本版独占試写会 45名様ご招待
あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

カザフスタン、原油生産量の決定では「国益優先」=エ

ビジネス

ドルの配分、過剰からより自然な水準へ=ECB専務理

ワールド

米中のフェンタニル取り締まり巡る協議難航、トランプ

ワールド

プーチン氏とゼレンスキー氏の双方と取引可能=トラン
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    教皇死去を喜ぶトランプ派議員「神の手が悪を打ち負かした」の真意
  • 2
    トランプ政権はナチスと類似?――「独裁者はまず大学を攻撃する」エール大の著名教授が国外脱出を決めた理由
  • 3
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    日本の10代女子の多くが「子どもは欲しくない」と考…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 9
    トランプの中国叩きは必ず行き詰まる...中国が握る半…
  • 10
    ウクライナ停戦交渉で欧州諸国が「譲れぬ一線」をア…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 5
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 6
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 7
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 8
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 9
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 10
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 5
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 6
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 7
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 8
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 9
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 10
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中