ピークアウトする中国経済...「借金取り」に転じた「一帯一路」の真実
なぜ、中国は「内向き」に転じたのだろうか。3つの要因が挙げられる。
(1)元高から元安へ
一帯一路が提起された2010年代前半は人民元高基調だった為替レートが、現在では元安に振れているためだ。一時は1ドル=6元を割り込む寸前まで元高が進んだが、現在(2024年12月)は7元強にまでレートは戻った。
人民元は長期的に元高に進んでいくという期待から、世界の資金が中国に流れ込み、投資マネーの過剰が生まれていたのだが、この状況はもう終わっている。むしろ米ドルの上昇期待が高まっている状況だ。対外経済援助は通常、ドル建てで行われる。ドル高に振れれば、中国のコストも、被援助国の返済ハードルも上がってしまう。
(2)債務不履行リスク
発展途上国の債務不履行リスクだ。世界銀行エコノミストのセバスチャン・ホーンらによると、中国の対外融資のうち、債務危機にある高リスク国への比率は、2010年の約5%から約10年間で60%にまで増加したという。
国家開発銀行や輸出入銀行などの中国政府系金融機関が主に融資を担当しているが、十分な調査が行われてこなかったため、返済が滞るリスクが高い。返せる見込みのない、リスクある相手にも中国は大胆に金を貸す。
返済できないほどの融資を行って、相手国をいいなりにする「債務の罠」だなどと言われることが多いが、むしろ、調査がずさんだったために、リスクある相手に融資してしまったというのが現実に近い。
(3)ウクライナ戦争
ウクライナ戦争の影響だ。開戦後、欧米諸国はロシアの海外資産を凍結したが、これは中国にとっても衝撃的な事態であった。
元中国人民銀行政策委員で経済学者の余永定は、ロシアに対する金融制裁を念頭に、中国が抱える多額の外貨準備が新たなリスク要因になると指摘している。米国が中国のドル建て資産を凍結すれば、ロシアと同じ苦境におちいりかねない。
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