最新記事
ビジネス

「日本製鉄のUSスチール買収は脱炭素に逆行」買収阻止を喜ぶ環境専門家たちの声

2025年1月6日(月)06時30分
ジェフ・ヤング(環境・サステナビリティー担当)

気候変動対策活動家の間には、日本製鉄による買収が中止になれば、別の企業がUSスチールを買収して、よりクリーンなテクノロジーへの転換が進むのではないかと期待する声もある。

「日本製鉄による買収提案は、気候にとって好ましくないものだった」と、鉄鋼業の脱炭素化を目指す団体スティールウォッチのアジア責任者を務めるロジャー・スミスは本誌の取材に電子メールで回答している。

再生可能エネルギーの利用拡大に伴い、発電における温室効果ガスの排出は減り始めている。そこで、次に注目が集まっているのが鉄鋼業などの重工業だ。

米商務省は昨年3月、鉄鋼大手クリーブランド・クリフスのオハイオ州ミドルタウンとペンシルベニア州バトラーの工場の脱炭素化に、最大5億7500万ドルの助成金拠出を決めている。

実は、クリーブランド・クリフスは2023年8月にUSスチールへの買収提案を行ったことがあった。

このときはUSスチールが提案を拒否したが、今回、日本製鉄による買収計画が中止になれば、同社が再び買い手として名乗りを上げないとも限らない(本稿執筆時点で本誌の取材要請に対して同社広報担当者からの返答はない)。

日本製鉄も今世紀半ばまでに、製鉄のプロセスでカーボン・ニュートラルを目指す計画を打ち出している。しかし、スティールウォッチをはじめとする環境保護団体は、それでは遅すぎるし、規模も不十分だと批判してきた。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

仏外相「領土攻撃をEU容認せず」、グリーンランド巡

ビジネス

ユーロ圏貯蓄率、目先高止まりか インフレで資産目減

ワールド

ガザ各地にイスラエル空爆、少なくとも22人死亡

ビジネス

ドイツにリセッション懸念 11月鉱工業受注と小売売
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:中国の宇宙軍拡
特集:中国の宇宙軍拡
2025年1月14日号(1/ 7発売)

軍事・民間で宇宙覇権を狙う習近平政権。その静かな第一歩が南米チリから始まった

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 3
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるようになる!筋トレよりもずっと効果的な「たった30秒の体操」
  • 4
    仮想通貨が「人類の繁栄と自由のカギ」だというペテ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 7
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 8
    レザーパンツで「女性特有の感染症リスク」が増加...…
  • 9
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 10
    ウクライナの「禁じ手」の行方は?
  • 1
    中国でインフルエンザ様の未知のウイルス「HMPV」流行の懸念
  • 2
    「戦死証明書」を渡され...ロシアで戦死した北朝鮮兵の遺族を待つ運命とは? 手当を受け取るには「秘密保持」が絶対
  • 3
    真の敵は中国──帝政ロシアの過ちに学ばない愚かさ
  • 4
    「涙止まらん...」トリミングの結果、何の動物か分か…
  • 5
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 6
    早稲田の卒業生はなぜ母校が「難関校」になることを…
  • 7
    地下鉄で火をつけられた女性を、焼け死ぬまで「誰も…
  • 8
    ザポリージャ州の「ロシア軍司令部」にHIMARS攻撃...…
  • 9
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 10
    カヤックの下にうごめく「謎の影」...釣り人を恐怖に…
  • 1
    大腸がんの原因になる食品とは?...がん治療に革命をもたらす可能性も【最新研究】
  • 2
    夜空を切り裂いた「爆発の閃光」...「ロシア北方艦隊」の基地で発生した大爆発を捉えた映像にSNSでは憶測も
  • 3
    インスタント食品が招く「静かな健康危機」...研究が明らかにした現実
  • 4
    ロシア兵「そそくさとシリア脱出」...ロシアのプレゼ…
  • 5
    ロシア軍は戦死した北朝鮮兵の「顔を焼いている」──…
  • 6
    TBS日曜劇場が描かなかった坑夫生活...東京ドーム1.3…
  • 7
    半年で約486万人の旅人「遊女の数は1000人」にも達し…
  • 8
    「腹の底から笑った!」ママの「アダルト」なクリス…
  • 9
    ミサイル落下、大爆発の衝撃シーン...ロシアの自走式…
  • 10
    コーヒーを飲むと腸内細菌が育つ...なにを飲み食いす…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中