年末、客足は多いのに「高い酒が売れない」市場がある...欧米酒造メーカーが苦戦
全米ワイン・スピリッツ卸売協会(WSWA)はロイターの取材に対し、スピリッツの卸売売上が年間で5.65%減少すると予測しており、前年の傾向から判断すると、ホリデーシーズンにおける売上の大幅な減少が懸念されている。
WSWAのフランシス・クレイトン最高経営責任者(CEO)は「至るところでブレーキがかかっている」と語る。「消費者は家賃や自動車関連の費用を払わなければならない。残されたわずかな可処分所得を何に使ってもらうか、競争は以前よりもずっと激しくなった」
WSWAのデータによれば、バーやナイトクラブではスピリッツの種類を問わず、高価なボトルから低価格帯へのシフトが進む。消費者に高額な酒を購入させることを戦略の柱とする大手メーカーにとっては頭の痛い問題だ。
コロナ禍明けにブームがあったものの、その後米国での酒類売上は急減しており、メーカー各社は対応に苦慮している。ホリデー商戦が不調であれば、その苦境はさらに深刻化する。
<クリスマスに希望の兆しも>
市場の傾向は一様ではない。英国では大手パブチェーンのマーストンズが、クリスマス当日の予約件数が前年比で11%増加したと報告。消費支出の回復が見られる。
一方、西側諸国の大手酒造メーカーの多くにとって最大の市場である米国では、酒流通大手サザングレーザーズが「これまでより警戒を要する、困難な」ホリデーシーズンを迎えるとの予測を出した。ただ流通大手3社は大幅な売上減少はないとみている。