習近平は「総書記」と「国家主席」どちらが正しいのか?...中国政治システムの「本音と建前」

2024年11月19日(火)16時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

合議制の常務委員にはある程度の意味がある

<中国の政治システム2「共産党中央委員会」>

さて、実際に国を動かしている共産党は、5年に一度「党大会」を開催。政治の中枢である「共産党中央委員会」のメンバーおよそ200名を決める “共産党の選挙” です。

中央委員会は党大会のすぐ後に “共産党のトップであり国の内閣” の役割である25人ほどの政治局員、その上のレイヤーである7人の政治局常務委員で、総書記を決める会議を行います。


その翌年に開かれる「全国人民代表会議」で国家主席が選出される──いやいや、事実上すでに決まっていて “出来レースでシャンシャンシャン” なわけですが──というプロトコルになっています。

2018年の憲法改正は、世界に衝撃を与えました。「常務委員は67歳が定年、総書記は2期まで」となっていたものの、「憲法を含むすべてのルールは事実上共産党の思いのまま」ですから、習近平総書記は在任中に「2期制をやめましょう」と改正。

総書記の座を守ったばかりか、側近で固めた常務委員の定年も事実上 “なし” になりました。

さらに2022年には、世界中が注目する中で、前総書記の胡錦濤が腕をつかまれて退場するという衝撃的なシーンもありました。

中国は儒教の国です。私も「何だかんだ言いつつも年上を尊重する文化が今でもある」と思っていただけに強い衝撃を受けました。健康上の理由と発表されましたが、「いや、無理矢理連れ出されたのだ」という意見もあり、真相は明らかにされていません。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRBとECB利下げは今年3回、GDP下振れ ゴー

ワールド

ルペン氏に有罪判決、被選挙権停止で次期大統領選出馬

ビジネス

中国人民銀、アウトライトリバースレポで3月に800

ビジネス

独2月小売売上は予想超えも輸入価格が大幅上昇、消費
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
特集:まだ世界が知らない 小さなSDGs
2025年4月 1日号(3/25発売)

トランプの「逆風」をはね返す企業の努力が地球を救う

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 2
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者が警鐘【最新研究】
  • 3
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「最大の戦果」...巡航ミサイル96発を破壊
  • 4
    磯遊びでは「注意が必要」...6歳の少年が「思わぬ生…
  • 5
    「炊き出し」現場ルポ 集まったのはホームレス、生…
  • 6
    メーガン妃のパスタ料理が賛否両論...「イタリアのお…
  • 7
    3500年前の粘土板の「くさび形文字」を解読...「意外…
  • 8
    なぜ「猛毒の魚」を大量に...アメリカ先住民がトゲの…
  • 9
    突然の痛風、原因は「贅沢」とは無縁の生活だった...…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 1
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 2
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き詰った「時代遅れ企業」の行く末は?【アニメで解説】
  • 3
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?
  • 4
    【独占】テスラ株急落で大口投資家が本誌に激白「取…
  • 5
    800年前のペルーのミイラに刻まれた精緻すぎるタトゥ…
  • 6
    ロシア空軍基地へのドローン攻撃で、ウクライナが「…
  • 7
    ガムから有害物質が体内に取り込まれている...研究者…
  • 8
    一体なぜ、子供の遺骨に「肉を削がれた痕」が?...中…
  • 9
    「テスラ離れ」止まらず...「放火」続発のなか、手放…
  • 10
    「この巨大な線は何の影?」飛行機の窓から撮影され…
  • 1
    中国戦闘機が「ほぼ垂直に墜落」する衝撃の瞬間...大爆発する機体の「背後」に映っていたのは?
  • 2
    「テスラ時代」の崩壊...欧州でシェア壊滅、アジアでも販売不振の納得理由
  • 3
    「さようなら、テスラ...」オーナーが次々に「売り飛ばす」理由とは?
  • 4
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山…
  • 5
    テスラ失墜...再販価値暴落、下取り拒否...もはやス…
  • 6
    「今まで食べた中で1番おいしいステーキ...」ドジャ…
  • 7
    市販薬が一部の「がんの転移」を防ぐ可能性【最新研…
  • 8
    テスラ販売急減の衝撃...国別に見た「最も苦戦してい…
  • 9
    テスラ離れが急加速...世界中のオーナーが「見限る」…
  • 10
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中