習近平は「総書記」と「国家主席」どちらが正しいのか?...中国政治システムの「本音と建前」
実際には共産党が絶大な国家権力を掌握している
「全人代は最高権力機関であり、立法機関であり、国家主席を選出し、国家予算や政策を決定する」──こう書くと、「じゃあ、全人代は国会みたいなもの?」と思うかもしれません。
形式上はその通りです。「全人代」が国会のようなもので、ここから選出される「国務院」が行政を担う政府で、国務院を主宰するのが首相です。「国務委員」が首相を補佐するいわば閣僚です。
しかし、中国の政治システムでややこしいのは、国務委員は全人代(国会)の代表というわけではなく、共産党の指導を受けること。共産党が事実上、支配しているのです。
国会たる全人代で自由な討議が行われることはなく、議案を提出することもできません。立法も国家主席の選出も政策決定も軍事戦略も、すべて共産党の意向で決まります。
さらに全人代で選ばれる「国家主席」は、国家元首ですが、空席だったこともあるポスト。事実上の国の最高権力者は、共産党中央委員会の総書記なのです。
「国家元首のポジションが空洞なんてよくない!」と思ったのかどうか、江沢民(1926年〜2022年)と習近平は国家主席であり共産党総書記。ついでに言うと中央軍事委員会主席も兼務。つまり「ぜーんぶ私がやるので、ご安心を」とばかりに、絶大な国家権力を掌握していることになります。