習近平は「総書記」と「国家主席」どちらが正しいのか?...中国政治システムの「本音と建前」

2024年11月19日(火)16時40分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部

キャリア外交官だった秦剛は習近平の抜擢で駐米大使を経て外相になりましたが、共産党でのポジションは中央委員止まり。共産党の序列で言うと政治局員ですらない下っ端です。かたや外相を退いてから共産党の政治局局員になった王毅は、断然格上。

中国の政治においては、政府でのポジションより共産党内のタイトルが重要で、「共産党で偉い人=国でも偉い人」となります。


ちなみに外交の世界はカウンターパートが重要で、同じ序列の人間が会わないなら訪問しない、迎えないという暗黙のルールがあります。

たとえば2023年に米国のブリンケン国務長官が訪中した際、政治局員であるカウンターパートの王毅前外相が出迎えました。習近平総書記との会談もあったのは「米国を重視しています」というメッセージです。

ところが同年、日本の林外務大臣の訪中で対面したのは秦剛外相。ポジションは同じ “外務大臣同士” で、形式的にはカウンターパートになりますが実質的には格下、政治局員の王毅には出迎えられなかった──あの時期の中国にとって、日本はそんな存在だったということかもしれません。

二重構造でわかりにくい中国政治のさらにややこしいところは、政治家と官僚の線引きが曖昧な点です。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

独、ウクライナの長距離攻撃能力を支持する時=ゼレン

ワールド

アルゼンチン、国連レバノン暫定軍から撤退へ 結束に

ワールド

中国主席、仏大統領と会談 戦略的対話深化の意向伝え

ワールド

ロシア、核指針改定 ウクライナ支援の米国に警告
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 2
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 3
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 4
    70代は「老いと闘う時期」、80代は「老いを受け入れ…
  • 5
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 6
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 7
    なぜ今さら長射程ミサイル解禁なのか、ウクライナ戦…
  • 8
    クリミアでロシア黒海艦隊の司令官が「爆殺」、運転…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    死者35人「暴走車」事件を隠したい...中国当局が取っ…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 8
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 3
    秋の夜長に...「紫金山・アトラス彗星」が8万年ぶりに大接近、肉眼でも観測可能
  • 4
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 7
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 8
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 9
    予算オーバー、目的地に届かず中断...イギリス高速鉄…
  • 10
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中