「不透明感高まる」新興国市場にトランプ次期大統領の影
メキシコペソもトランプ氏の勝利を受けて一時3.6%値下がりしたが、その後は急速に値を戻した。16年には8%近い下げを記録していた。
市場関係者は次期トランプ政権の歳出計画に注目し、米金融政策への影響を見極めようとしている。財政赤字が拡大すれば利下げペースが鈍る可能性がある。
フランクリン・テンプルトン・フィクスト・インカムのソナル・デサイ最高投資責任者は「金利上昇とドル高は逆風だ。関税など一部の政策も逆風になる」と述べた。
根強い楽観論
ただ、一部の市場については楽観論が根強い。
アムンディのシジコフ氏は、トランプ氏の対中強硬政策でインドなどが恩恵を受けるのではないかと予想。アルゼンチンも歳出削減や改革を受けて投資家が戻ってきていると述べた。
UBSアセット・マネジメントの新興国・アジア太平洋債券部門責任者、シャマイラ・カーン氏は「一部のセクターや国は、トランプ氏の勝利で恩恵を受ける可能性がある」とし、新興国への投資で多額の利益を上げることは可能だとの見方を示した。
ウクライナの国内総生産(GDP)連動ワラント債は、トランプ氏の勝利を受けて、ロシアとの戦争の終結が早まるとの期待が広がり、大幅に上昇した。
アルゼンチンの株式・債券も上昇。過激な主張で知られる同国のミレイ統領とトランプ氏の関係が緊密になるとの見方が背景だ。