【私らしく書く】「自分のこと」を書きたいが...人気エッセイストの「ネタ切れ」しないための習慣
エッセイは自由勝手に書くものではない
エッセイというと、自由に、勝手に書いていいものと思われるかもしれません。でも、完全に自由に書いて許される人なんて、一部の認められた大家だけだと思います。
私のような書き手ならば、編集者が求める依頼に合わせて、きちっと決まった文字数のなかで、どれだけ自然にやるかにかかっています。まったく違うもののように思えるかもしれませんが、夏休みの作文と同じです。課題に沿って書くのです。
エッセイを大量に書くようになって、翻訳も速くなりました。文字に対する耐性がついたのだと思います。大量の文字を処理することにも慣れました。
でもここからが本当に大事なことなのですが、何事も反復練習が命なのです。エッセイも、そして翻訳も。私の翻訳の実力を10としたら、7は繰り返しによってつくられています。反復練習ができるかできないかということだけだと思います。
私はどちらかといえばできないほうの人間ですが、必要に迫られたからできたということでしょう。エッセイの発注をこなすことと、ノンフィクションを訳すことで、鍛錬を積めたと思っています。両者は密接につながっています。
村井理子(むらい・りこ)
翻訳家/エッセイスト 1970年静岡県生まれ。滋賀県在住。ブッシュ大統領の追っかけブログが評判を呼び、翻訳家になる。現在はエッセイストとしても活躍。
著書に『兄の終い』 『全員悪人』 『いらねえけどありがとう』(CCCメディアハウス)、『家族』『はやく一人になりたい!』(亜紀書房)、『義父母の介護』『村井さんちの生活』(新潮社)、『ある翻訳家の取り憑かれた日常』(大和書房)、『実母と義母』(集英社)、『ブッシュ妄言録』(二見文庫)、他。訳書に『ゼロからトースターを作ってみた結果』『「ダメ女」たちの人生を変えた奇跡の料理教室』(新潮文庫)、『黄金州の殺人鬼』『ラストコールの殺人鬼』(亜紀書房)、『エデュケーション』(早川書房)、『射精責任』(太田出版)、『未解決殺人クラブ』(大和書房)他。
『エブリシング・ワークス・アウト 訳して、書いて、楽しんで』
村井理子[著]
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