最新記事
サイエンス

僕らは宇宙を「老化させる」ために生きている...池谷裕二が脳研究から導く「生きる意味」

2024年8月1日(木)19時06分
flier編集部
『夢を叶えるために脳はある』著者の池谷裕二氏

Lia Koltyrina/Shutterstock

<東京大学薬学部教授で脳研究者の池谷裕二氏が、新著『夢を叶えるために脳はある』で解き明かす「生きる意味」について聞く>

累計43万部を突破した脳講義シリーズ『進化しすぎた脳』『単純な脳、複雑な「私」』。東京大学薬学部教授で脳研究者の池谷裕二先生と高校生たちとの臨場感あふれるやりとりに、夢中になった方も多くいるのではないでしょうか。それらに続く、15年ぶりとなる最新作『夢を叶えるために脳はある』(講談社)が、2024年3月に発刊されました。

『夢を叶えるために脳はある』に込められた「意外な意味」とは? 池谷先生の脳研究への原動力についてもお聞きします。
(※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です)


『夢を叶えるために脳はある』に込めた意味

──前作から15年ぶりに『夢を叶えるために脳はある』を出版された背景をお聞かせください。

『単純な脳、複雑な「私」』を書きあげたときは、「丹精込めてすべて書いたから、もう新たに書くことはないだろう」と思っていました。一方で、「あと10年も経てばきっと書きたいことが出てくるだろう」と想像する自分もいた。実際、前作から10年後に講義をしてみると、当時の科学技術ではわからなかったこともあり、語り尽くせていない点があったなと気づきました。

本書の内容の一部は、東大生や他の大学生にも講義をし、試行錯誤を経た後に、高校生10名への全3回の連続講義でお話した内容を再構成したものです。参加者はみな、春休みでも自主的に学校に通って脳について学ぼうとする意欲にあふれた高校生たちで、前のめりに講義に参加してくれました。

当日の流れややりとりをできるだけ忠実に再現しつつも、本当に伝えたかったことを講義にいなかった読者にも正しく伝わるよう工夫しています。『夢を叶えるために脳はある』は脳講義シリーズの完結編であり、いま一番思い入れがあって、一番好きな本ですね。

──本書の3章構成はどんな構想のもとにつくられたのでしょうか。

最終的に読者に伝えたいメッセージは、タイトルの『夢を叶えるために脳はある』でした。これは、脳は仮想現実をつくり出すためにある、という意味です。私たちは、脳が捉えた世界の中で、脳を使って生きている。そんな脳の機能と意義について考えることが一貫したテーマです。

ただ、いきなり結論を伝えても通じません。私たちが身につけてきた難攻不落な常識を徐々に崩していくために設けたのが、第1章と第2章。講義1日目と2日目にあたります。

夢を叶えるために脳はある
 著者:池谷裕二
 出版社:講談社
 要約を読む

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ

ワールド

ゲーツ元議員、司法長官の指名辞退 売春疑惑で適性に

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中