最新記事
サイエンス

僕らは宇宙を「老化させる」ために生きている...池谷裕二が脳研究から導く「生きる意味」

2024年8月1日(木)19時06分
flier編集部

1日目は、脳を顕微鏡のレベルでミクロに眺めたり、行動や精神のレベルからマクロに捉えたりして、脳の不思議さを紹介しました。2日目は、人工知能と脳の比較をしながら、脳独自の特徴とともに脳研究の意義を語りました。そのうえで、3日目にあたる第3章では、脳の挙動をとことん探究することで「私」という存在の真相を抉っていきました。

本書は約670ページと長大ですが、私なりの「脳観」を示すためには、このボリュームが必要でした。最後まで読んでくれた方の中には、「池谷さんにしか書けない、オリジナリティの高い本だね」とおっしゃる方がいます。解説書なので、何か新たな発見を書いたものではありません。ただ、説明に使うたとえや言葉に独自性があるのだと。身近な言葉なのに、その使い方が新鮮で意外性があるので、理解が深まりやすいのだと捉えています。


脳研究が導く「生きる意味」とは? 本書は、読者への「人生の応援歌」

『夢を叶えるために脳はある』著者の池谷裕二氏

『夢を叶えるために脳はある』著者の池谷裕二氏(flier提供)

──本書の中で、「脳について理解を深めて人生に活かしたい」と考えるビジネスパーソンに特に伝えたい内容はありますか。

生きていると、「人生の目的なんてあるのか」「なぜこんなに一生懸命働いているのだろう」などと、不安感やストレスに襲われることがあります。その感情に蓋をしているとモヤモヤが残っていく。本書は、そうしたストレスに対する免疫力をつけるための「人生の応援歌」でもあるんです。

──「人生の応援歌」ですか。

第3章で、「私たちは宇宙を老化させるために生きている」と書きました。宇宙のエントロピー増大の法則に則り、これを推し進めることで宇宙の老化を助けている。つまり、食事や呼吸、排泄などを行い、生きているだけで役に立っているんです。そこに虚しさを感じるかもしれません。ですが、私の場合は、生命の原理が「少なくとも価値があるんだよ」といっているのかと、ものすごく肯定された。どうせ生きるなら楽しく生きよう、と。

タイトルの『夢を叶えるために脳はある』にも二重の意味を込めました。一見「将来の夢を実現するために頑張ろう」というスローガンに見えるものの、読み進めると、「脳は所詮、仮想現実をつくり出しているだけ」という意味でもあると気づく。けれども、最後まで読み切ると、1周回って「生きているって意味がある」というメッセージに立ち戻れるようにという願いを込めました。

あわせて読みたい
ニュース速報

ビジネス

FRB、一段の利下げ必要 ペースは緩やかに=シカゴ

ワールド

ゲーツ元議員、司法長官の指名辞退 売春疑惑で適性に

ワールド

ロシア、中距離弾でウクライナ攻撃 西側供与の長距離

ビジネス

FRBのQT継続に問題なし、準備預金残高なお「潤沢
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:超解説 トランプ2.0
特集:超解説 トランプ2.0
2024年11月26日号(11/19発売)

電光石火の閣僚人事で世界に先制パンチ。第2次トランプ政権で次に起きること

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本人はホームレスをどう見ているのか? ルポに対する中国人と日本人の反応が違う
  • 2
    Netflix「打ち切り病」の闇...効率が命、ファンの熱が抜け落ちたサービスの行く末は?
  • 3
    「1年後の体力がまったく変わる」日常生活を自然に筋トレに変える7つのヒント
  • 4
    【ヨルダン王室】生後3カ月のイマン王女、早くもサッ…
  • 5
    NewJeans生みの親ミン・ヒジン、インスタフォローをす…
  • 6
    元幼稚園教諭の女性兵士がロシアの巡航ミサイル「Kh-…
  • 7
    ウクライナ軍、ロシア領内の兵器庫攻撃に「ATACMSを…
  • 8
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 9
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 10
    若者を追い込む少子化社会、日本・韓国で強まる閉塞感
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査を受けたら...衝撃的な結果に「謎が解けた」
  • 3
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り捨てる」しかない理由
  • 4
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参…
  • 5
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 6
    アインシュタイン理論にズレ? 宇宙膨張が示す新たな…
  • 7
    沖縄ではマーガリンを「バター」と呼び、味噌汁はも…
  • 8
    クルスク州の戦場はロシア兵の「肉挽き機」に...ロシ…
  • 9
    メーガン妃が「輝きを失った瞬間」が話題に...その時…
  • 10
    中国富裕層の日本移住が増える訳......日本の医療制…
  • 1
    朝食で老化が早まる可能性...研究者が「超加工食品」に警鐘【最新研究】
  • 2
    北朝鮮兵が「下品なビデオ」を見ている...ロシア軍参加で「ネットの自由」を得た兵士が見ていた動画とは?
  • 3
    外来種の巨大ビルマニシキヘビが、シカを捕食...大きな身体を「丸呑み」する衝撃シーンの撮影に成功
  • 4
    朝鮮戦争に従軍のアメリカ人が写した「75年前の韓国…
  • 5
    自分は「純粋な韓国人」と信じていた女性が、DNA検査…
  • 6
    北朝鮮兵が味方のロシア兵に発砲して2人死亡!? ウク…
  • 7
    「会見拒否」で自滅する松本人志を吉本興業が「切り…
  • 8
    足跡が見つかることさえ珍しい...「超希少」だが「大…
  • 9
    モスクワで高層ビルより高い「糞水(ふんすい)」噴…
  • 10
    ロシア陣地で大胆攻撃、集中砲火にも屈せず...M2ブラ…
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中