なぜ「経営理念」だけでは稼げないのか?...仕事は「中間システム」の具体化がカギだった
営業部の人事評価制度を作るにはこれらの問いに答えなければいけないが、どれだけ探しても、絶対的な正解は見つからない。
好調な大企業のマネをしてもうまくいかない。すべての企業は業種・業態・ビジネスモデル・歴史・企業風土などがそれぞれ違うため、最適な中間システムもまたそれぞれ違うのだ。そして、中間システムを作るにあたって立ち戻るべき指針が「経営理念」である。
売上が大切か、信頼が大切か。その判断はケースバイケースだが、経営理念に「私たちは、お客様との信頼関係を大切にします」とあれば、やはり信頼が大切だ。営業方針を作るにしろ、人事評価制度を作るにしろ、お客様との信頼関係をベースに考える必要があることが分かる。(図4)
経営理念の実現とは中間システムの「具体化」
逆に言えば、経営理念とは、中間システムに具体化しない限り実現されない。「お客様との信頼関係を大切にします」という経営理念は、「営業方針」「ブランド戦略」「人事評価制度」などに具体化されて初めて実現される。
結局のところ、経営理念が必要な理由は「社員の意識を統一するため」というような抽象的なものではない。「経営理念なしでは、営業方針もブランド戦略も人事制度も作れない」という非常に実用的な理由なのだ。
経営理念はまた、中間システムに安定性を与える。もしも何かしら中間システムが不明瞭になったとき、あるいは機能していないと感じられたとき、経営理念に立ち戻ることができるからだ。