なぜ「経営理念」だけでは稼げないのか?...仕事は「中間システム」の具体化がカギだった
現場は経営理念ではなく「中間システム」に従う
あなたがもし現場で働いている「プレイヤー」なら、毎日の仕事の中で「社長」や「経営者」の存在を意識することは少ないだろう。
従業員何千人の大企業であれば、「社長になんて会ったこともない」という人もたくさんいる。毎日意識することがあるとすれば、「直属の上司」の存在である。
同様に、「プレイヤー」が「経営理念」を見て仕事をすることは少ない。その存在さえ知らない「プレイヤー」もたくさんいる。
では何を見て仕事をしているかというと、その部署の「方針」「マニュアル」「制度」などである。出版社の編集部ならば「編集方針」や「編集マニュアル」などがあり、編集者(プレイヤー)は基本的にそれらに従って仕事をしている。
あるいは、部署に限らなくても、たとえば「社内人事評価制度」という制度を見ながら「ああ、今季はもう1冊本を仕上げればボーナスがもらえそうだな」などと考えながら仕事をしている。
本書では、組織内に存在する「方針」「マニュアル」「制度」などをまとめて「中間システム」と呼ぶ。「中間システム」に該当するものは、「営業方針」「ブランド戦略」「人事制度・採用方針」「編集方針」「新商品開発マニュアル」など様々なシステムである。
当たり前のことながら、現場のプレイヤーたちは、良くも悪くも、経営理念を見ながら行動することはない。現場のプレイヤーたちが見ているのは、営業部員であれば「営業方針」、編集部員であれば「編集方針」というような「中間システム」である。
とはいえ中間システムの要は「経営理念」
現場のプレイヤーたちが見ているのは、「ブランド戦略」「人事制度」といった中間システムなのだが、ではその中間システムとは、どのように作って、どのように最適化すればよいのだろうか?
実は、この答えこそが「経営理念」である。たとえば人事評価制度を作ろうとした場合、どのような人物に高評価を与え、給料を上げたり昇進させたりすればいいのかが問題となる。
営業部員は、単純にたくさんの売上を稼いだ人が偉いのだろうか?
それとも、お客様アンケートで高評価をとった人が偉いのだろうか?
新規開拓したお客様からの売上と、長年の上得意からの売上は同じ評価でよいのだろうか?
売上を稼ぎさえすれば、詐欺すれすれの営業トークは許されるのだろうか?
そうではなくて、内外に対し誠実さを持つ人を評価すべきなのだろうか?......。