酷暑続いた今年の夏、労働者保護の法整備進まず テキサスでは議会が規制導入阻む法案を可決
米物流大手ユナイテッド・パーセル・サービス(UPS)の配送運転手クリス・ベグリーさんは先月、テキサス州のうだるような暑さの中で倒れ、死亡した。UPSは全米トラック運転手組合(チームスターズ)との契約交渉の中で、来年以降の新規購入車両にエアコンを装備することに同意した。
進捗の一方で後退懸念も
テキサス州では、州議会が暑さ対策を含む労働者保護を後退させようとしてきた。
州議会は今年、州内の自治体が、州法で認められている範囲よりも厳しい規制を導入できないようにする法案を可決した。
啓発活動家らは、この法律によって、賃金未払い問題から、オースティンなどの地域で労働者に保障されている休憩と水分補給の権利に至るまで、自治体による条例が実質的に無効化される恐れがあると語る。
だが今月に予定されていた施行の直前、州裁判所は同法が州憲法に違反していると判断した。ただし支持者・反対派双方とも、この判決が最終的な結論にはならないだろうと示唆している。
連邦レベルでは、バイデン政権が2021年に一部の労働者に対して休憩と水分補給を義務づける規制の制定に向けて前進を見せ、労働者の権利擁護団体から評価されている。ただし実現には何年もかかる可能性がある。
当面、テキサス州のマロカンさんのような多くの労働者は、引き続き猛暑に悩まされていると語る。マロカンさんは、清掃作業中に、あまりの暑さで仕事を中断せざるをえなかったこともあるという。
「パンを焼くオーブンを開けたときのような感じで息が詰まった」とマロカンさん。「暑すぎて、頭の中に熱が侵入してくるようだった。まるで拷問のように、身体が痛んだ」
(翻訳:エァクレーレン)
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