北朝鮮、ロシア派兵初めて認める 金氏「英雄」と称賛

9月28日、 北朝鮮は金正恩朝鮮労働党総書記の命令でロシアに派兵し、ウクライナとの戦闘に参加していることを初めて認めた。写真は2月、平壌で軍の訓練を視察する金氏。KCNA提供(2025年 ロイター)
[ソウル 28日 ロイター] - 北朝鮮は28日、金正恩朝鮮労働党総書記の命令でロシアに派兵し、ウクライナとの戦闘に参加していることを初めて認めた。国営の朝鮮中央通信(KCNA)は、北朝鮮兵がウクライナに占領されたロシア領の解放に重要な貢献をしたと伝えた。
朝鮮労働党はロシア西部クルスク州を解放するための戦闘が勝利で終わったとして、北朝鮮とロシアの間の「確固たる軍事的友好関係の最高戦略レベル」を示したと表明した。
ロシア軍のゲラシモフ参謀総長は26日、越境攻撃を受けていたクルスク州をウクライナ軍から完全に奪還したと発表。一方、ウクライナはクルスク州が奪還されたとの主張を否定。同州とロシア西部ベルゴロド州で作戦を展開していると述べた。
労働党中央軍事委員会は、金氏が昨年、プーチン大統領と結んだ包括的戦略パートナーシップ条約に基づき、派兵を決定したと説明した
KCNAは、同委のコメントとして、金氏の命令の下、北朝鮮の兵は自国のために戦った場合と同じような勇猛果敢さで戦ったと伝えた。
KCNAによると、金氏は「正義のために戦った彼らはみな英雄であり、祖国の名誉の代表者だ」と述べた。
KCNAは「(北朝鮮は)ロシア連邦のような強大な国家と同盟を結んでいることを名誉と考えている」と伝えた。
米国務省は、北朝鮮がロシアのウクライナ戦争に直接関与していることを懸念しているとした上で、北朝鮮によるロシアへの派兵は終わらせるべきだとの姿勢を示した。韓国は、部隊派遣の確認は「犯罪行為の容認」であるとし、政権を支える目的で自国の若者を戦場に送るという「非人道的で不道徳な」決定を下した北朝鮮を非難した。
北朝鮮が半年以上の沈黙の後でロシア派兵を確認し、北朝鮮軍の犠牲を強調したのは、対等なパートナーシップを演出するためとアナリストは指摘する。韓国統一研究院のホン・ミン氏は「北朝鮮とロシアの首脳がより強い絆を誓うために、外交的なパフォーマンスを行う必要が出てきた」とし、今回の確認はロシアでの首脳会談の補強だと指摘した。
ウクライナ当局がこれまでに明らかにしているところによると、北朝鮮は3000人の増援部隊を含め、計1万4000人の兵士を派遣したと推定される。装甲車・ドローン(無人機)戦の経験が不足しているため、多くの犠牲者を出したが、すぐに適応した。
ロシアは26日、北朝鮮兵がクルスク州でロシア兵と共に戦っていることを初めて確認した。
ロシアも北朝鮮も、これまでは派兵を肯定も否定もしていなかった。