そごう・西武ストが企業買収に波紋 従業員の理解も留意点になるのか?
売却回避しても雇用維持は......
日本では、事前に労使間で話し合いが行われることが多く、大規模なストは回避されてきた。厚生労働省の統計によると、ストの実施件数は1991年に3桁台へ、2009年に2桁台へと急激に減少し、22年は65件にとどまっている。
それだけに今回のストは大きな注目を集めているが、売却の流れを変えるまでには至っていない。セブン&アイHDは31日に臨時取締役会を開き、9月1日付でフォートレスに売却することを決める。
そごう・西武は最終赤字が4期続いている。売却を先送りしても、業績が改善して営業を続けることができ、雇用が維持される保証はない。ある流通関係者は「百貨店という曲がり角を迎えている業態。雇用維持など訴えたいことは分かるが、落としどころが見えないストにも映る」と話す。
そごう・西武労組がスト通知を発表した記者会見に高島屋など同業百貨店の労組が支援を表明したのも、不透明な業界の先行きに同じ悩みを抱えているからと言える。
千葉大学の皆川宏之教授は「事業再編は世界的に行われており、雇用維持や労働条件の向上のためにスト権利を行使して交渉する局面は今後もあるのだろう」とみる。「(そごう・西武の)組合としてはやれることはやって、要求を伝えて反映させることには意味がある」と語る。
(清水律子、金子かおり、Rocky Swift、勝村真理子 編集:久保信博)