最新記事
人材

日本企業の「人材を評価する」能力が低い訳...敏腕ヘッドハンターが教える「人を見る目」の鍛え方とは?

2023年5月18日(木)19時04分
flier編集部
小野壮彦氏と大賀康史氏

小野壮彦(グロービズ・キャピタル・パートナーズ ディレクター)、大賀康史(フライヤー代表取締役CEO) flier提供

<5000人を超えるハイクラス人材を見極めてきた経験を持つ「人を見る目のプロ」は、「4つの階層」で人を選ぶ>

これまで経験やセンスによるものとされてきた「人を見る目」。人を見る際のポイントを体系化したフレームワークを惜しげもなく公開したのが、『人を選ぶ技術』(フォレスト出版)です。

著者の小野壮彦さんは、世界最高峰のヘッドハンティング会社であるエゴンゼンダー社にて、5000人超のエグゼクティブ人材を見てきた人物です。誰を採用して、誰を抜擢するのか? 人を見る目を鍛えるには? 株式会社フライヤー代表取締役CEO・大賀康史とともに、経営者にとって普遍的な「人」の課題について語りつくします。

※この記事は、本の要約サービス「flier(フライヤー)」からの転載です。

日本企業では、「人を選ぶ技術」が蓄積されていない

大賀康史(以下、大賀):これまで、人を見る目はセンスや経験によるものと思われがちでした。『人を選ぶ技術』では、その技術が体系的に言語化されていて、非常に画期的だと思いました。まずは、ご著書を執筆された背景をお話ししていただけますか。

小野壮彦さん(以下、小野):執筆に至った背景には、国内の大企業もスタートアップも、おしなべて採用力が低いという、危機意識がありました。もし「企業の人を選ぶ力ランキング」という指標があったとしたら、日系企業はかなり諸外国から離されていると思います。

日系大企業の多くは、新卒一括採用には時間と労力をかけています。一方、中途採用になると、「人を見ずに経歴を見て」採用しがちな実態があります。強みのはずの改善活動がこの領域では足りず、人選びの知見や知恵も蓄積されていないように映ります。

言わずもがな、誰を採用し、抜擢するかは、会社にとって重要な意思決定です。例えば、経営トップが変わるだけで、会社全体の空気がガラッと変わります。そこまでいかなくても、採用した管理者層の活躍度合いは、業績に大きな影響をもたらします。

大賀:大企業と同じく、スタートアップにおける人材採用も重要な意思決定だと思いました。5人の会社なら、6人目の人選はカルチャーの2割に影響を与えますから。

小野:ほとんど例外なく、スタートアップは、大きな人選びの失敗を経験しています。ただ、日本のスタートアップの課題として、そういった痛い目にあった結果、人選びでリスクをとらなくなる傾向があります。間違いのない選択をしようと、業界知識や、スタートアップ経験者を過剰に求めてしまう方向に向かいがちなのです。

ビジネス
栄養価の高い「どじょう」を休耕田で養殖し、来たるべき日本の食糧危機に立ち向かう
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

米国務長官、今週のウクライナ和平交渉への出席取りや

ワールド

ゼレンスキー氏、停戦後に「ロシアと協議の用意」 短

ビジネス

中銀の独立性と信頼性維持は不可欠=IMFチーフエコ

ワールド

イスラエル、ガザ攻撃強化 封鎖でポリオ予防接種停止
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
特集:独占取材 カンボジア国際詐欺
2025年4月29日号(4/22発売)

タイ・ミャンマーでの大摘発を経て焦点はカンボジアへ。政府と癒着した犯罪の巣窟に日本人の影

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初期に発見される
  • 2
    【クイズ】「地球の肺」と呼ばれる場所はどこ?
  • 3
    パウエルFRB議長解任までやったとしてもトランプの「利下げ」は悪手で逆効果
  • 4
    日本の人口減少「衝撃の実態」...データは何を語る?
  • 5
    コロナ「武漢研究所説」強調する米政府の新サイト立…
  • 6
    アメリカは「極悪非道の泥棒国家」と大炎上...トラン…
  • 7
    【クイズ】世界で最もヒットした「日本のアニメ映画…
  • 8
    なぜ世界中の人が「日本アニメ」にハマるのか?...鬼…
  • 9
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?.…
  • 10
    米経済への悪影響も大きい「トランプ関税」...なぜ、…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ? 1位は意外にも...!?
  • 2
    「生はちみつ」と「純粋はちみつ」は何が違うのか?...「偽スーパーフード」に専門家が警鐘
  • 3
    しゃがんだ瞬間...「えっ全部見えてる?」ジムで遭遇した「透けレギンス」投稿にネット騒然
  • 4
    【渡航注意】今のアメリカでうっかり捕まれば、裁判…
  • 5
    女性職員を毎日「ランチに誘う」...90歳の男性ボラン…
  • 6
    【クイズ】売上高が世界1位の「半導体ベンダー」はど…
  • 7
    「スケールが違う」天の川にそっくりな銀河、宇宙初…
  • 8
    「100歳まで食・酒を楽しもう」肝機能が復活! 脂肪…
  • 9
    自宅の天井から「謎の物体」が...「これは何?」と投…
  • 10
    『職場の「困った人」をうまく動かす心理術』は必ず…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    「一夜にして死の川に」 ザンビアで、中国所有の鉱山ダムから有毒の水が流出...惨状伝える映像
  • 3
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった...糖尿病を予防し、がんと闘う効果にも期待が
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    テスラの没落が止まらない...株価は暴落、業績も行き…
  • 7
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 8
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 9
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
  • 10
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中