最良のフォーメーションとは? サッカーに学ぶ「人事戦略の極意」8カ条
WHAT CEOS CAN LEARN FROM THE WORLD CUP
■チャンピオンシップを制するディフェンダー
敵の攻撃をかわし、押しとどめるという意味で、センターバックが最も大事だと主張する専門家も多い。
センターバックはゴールキーパーと残りのチームの架け橋。「彼らは最後の砦(とりで)だ」とクロップは言う。「センターバックがボールを奪われたり攻撃を的確に食い止められなかったりすれば、対戦相手に大きなチャンスをくれてやることになる」
センターバックは往々にしてチームのリーダー格で、主将を務める確率もほかのポジションより高い。
一方、チームの要はサイドバックだという証拠もそろう。
W杯で史上最多5回の優勝経験を持つブラジルは02年大会優勝の立役者となったカフーおよびロベルト・カルロスや、レアル・マドリードを3年連続でチャンピオンズリーグ優勝に導き一時代を築いたマルセロら、超一流のサイドバックを輩出してきた。サイドバックは攻撃に積極的に参加し、ストライカーをマークするのはセンターバックに任せて広いスペースをカバーする。
19年にUEFAチャンピオンズリーグで優勝したリバプールのトレント・アレキサンダー・アーノルド(右サイドバック)とアンドリュー・ロバートソン(左サイドバック)が、同年のプレミアリーグにおけるアシスト数ランキングで3位と5位につけたのも不思議ではない。
■ミッドフィルダーは攻撃の「エンジン」
守備的ミッドフィルダーはしばしば攻撃の「エンジン」となり、チームのまとめ役も果たす。
女子サッカークラブ、ポートランド・ソーンズのマーク・パーソンズ監督は16年、フランス代表にして女子サッカー界が誇る守備的ミッドフィルダーのアマンディーヌ・アンリを「彼女が中盤で試合をコントロールするから、チームはよりよい仕事ができる」と称賛した。
守備の面ではボールを支配し、一対一の競り合いに勝ち、潜在的なパスコースを遮断することが求められるポジションだ。
■ストライカーこそMVP
最重要ポジションと言えばストライカーという世間一般のイメージは正しいのだろうか。確かに、選手個人に贈られる賞を獲得しているのはほとんどがフォワードだ。
国際サッカー連盟(FIFA)が年に1回選ぶ男子サッカーの最優秀選手にしても、1991年に表彰が始まって以来、たった1人の例外(ファビオ・カンナバーロ)を除けば攻撃的ミッドフィルダーかフォワードばかり。同じことは女子にも当てはまる。01年に賞が創設されて以降、守備部門で最優秀選手に選ばれたのはゴールキーパーのナディネ・アンゲラー1人だけだ。
成績をはじめとするさまざまな要素から選手の「市場価値」を算出したランキングを見ても、上位にいるのは多くがフォワードだ。同じことは、米フォーブス誌のアスリート長者番付にランクインするプロサッカー選手にも言える。